アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「GEISAI—3」。2003.3.30 。パシフィコ横浜。

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「GEISAI—3」。2003.3.30 。パシフィコ横浜

 

 2003年3月30日。

 村上隆が主催する「GEISAI」は、日本国内では3回目になった。若い友人と、妻と一緒に会場に行き、しばらく別行動をするために、1時間後に、会場内で待ち合わせをした。その場所は、審査発表などがある場所で、人がものすごく集まっていて、はぐれそうになったくらいだった。

 

 いろいろと見た。

 しかし、去年に比べて、何だか特異な感じが少ないような気がした。それは、観客としてぜいたくなことだけど、ある意味、慣れてしまったのかもしれなかった。「こまいぬ」(GEISAI-2グランプリ)は、前回に見た方が圧倒的にいいような気がした。

 

 審査発表が始まり、小山登美夫ギャラリーの小山氏が、稲田さんの作品が圧倒的に優れていたので⋯みたいな話をしていたので、見るのを忘れていたことを思い出し、その作品を見ようとして、あわてて、そのブースに向かった。銀賞の表示があった。

 

 稲田由美子は、白い服をベースにして、傷付いた自分をポップな絵にして、それを、Tシャツに描いていて、バンドエイドも張り付けたりして、そのTシャツやスカートを身にまとっていて、少しひりひりした感じが、身につけていることで、より伝わってくると思った。すごくよかった。稲田自身がそれを着て、ブースに座っている。そのすみの一角には、白い丘に小さな家がある、小さな白い立体があった。そのたたずまいも、すごくよかった。

 

 そして、声をかけてください。わたしのカバンを見せます。という文字もあったので、そのバッグをあけてもらうと、着ている服と、似た気配の、少しざらついた気持ちが伝わってくるような小物が、いくつも入っていた。そういう演出もよかった。ブースは、おそらく1メートル四方くらいの狭いスペースだけど、バッグを持って、歩けば、そこが移動する「展示ブース」にもなる。そういう方法も、とても優れていると思った。

 この作品を見て、来てよかった、と思えた。

 また来ようと、思えた。

 

 

(2003年の時の記録です。多少の加筆・修正はしています)。

 

 

GEISAI-3 金・銀・銅賞」

www.geisai.net