アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「アイドル!」。2006.10.7~2007.1.8。横浜美術館。

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「アイドル!」。2006.10.7~2007.1.8。

横浜美術館

 

2007年1月8日。

 

 佐藤江梨子を撮った蜷川実花の写真で、この展覧会が紹介されていて、気になっていて、でも、結局、最終日に妻と行くことになった。在宅介護をしている義母がデイサービスの時に、ささっと行くというパターンだ。みなとみらい線というのが出来て、かなり近い感じにはなった。それも、出口から出て、わりとすぐい美術館があった。

 

 その途中まで、ひらひらしたスカートを身につけた派手めで細い女性が歩いていって、途中で立ち止まって、誰かと待ち合わせのような動きまで見せたが、また歩いて、横浜美術館の中へ歩いていった。

 

 この美術館は、中央部の吹き抜けのようなスペースが、ちょっと落ち着きのない感じを招くのだけど、細いエスカレーターを登って展示室に向かう時に、ちょっとわくわくした感じがした。

 

 新年が明けて、最初のアートだったせいもある。最初の部屋は、中原杏(なかはら あん)という人の描く「きらりん☆レボリューション」というマンガの部屋で、パステルだった。その原画を妻は、本当に食い入るように見て、うまい、と感心していた。私は、その登場人物の瞳が、自分が知っている少女マンガよりも、さらに大きくなっていて、その分、瞳がリアルに描かれているのだけれども、でも、何しろ、きらりん☆だった。「きらレボ」と小学生の間で人気らしいが、初めて知った。モーニング娘の1人を声優にしたりと、主題歌を歌ったり、みたいなプロジェクト展開、などとリーフレットに書いてあったが、今のモーニング娘。が、また復活しつつあることを、私が知らないだけだった。小学生らしき女の子が、確かに、この部屋にはいた。何人も。楽しそうに。

 

 次は、KATHYの部屋。

 ゲイサイでの受賞をきっかけに、いろいろな活動をしているらしい。顔を、

ストッキングか何かでかくして、それで、3人が動いている映像。その映像のかすれ具合というか、ざわざわっとした感じの映像が、よく出来ていた。美術館の外にあった奇妙な小屋は、これで使ったんだ、と分る。

 

 篠山紀信の部屋。山口百恵の番組のビデオが流れている。ホントに暗い目をしていると思う。そして、その明星の表紙の写真。みんなが同じ視線のピント距離、というか、同じような感情に見える目線をしていることに驚く。

 

 そして、私にとっては、この展覧会で、もっとも面白かったスペース。

 加藤美佳

 女の子の人形を作り、それを撮影し、さらに精密に大きく描くという作品。その手順を聞いただけで、何だか気になる作家。今回の作品も初めて見て、なにか、凄くよかった。手間ひまをかけた作業が、ただのコンセプトではなく、その時間の中で、もっと、なにか変なものが宿っている感じが、分るような気がした。

 

 西野正将。

 写真は、よく分らなかった。映像は、生活している中のちょっとした違和感みたいな部分があって、面白い、と思った。

 

 川島秀明。

 顔だけの絵。諸星大二郎を思わせる絵だった。

 

 草間弥生は、映像で、大きいスペースの中の一角で、詩を読んでいて、そこにいるような感じがした。すでに、本人がアイドルだった。

 

「オシャレ魔女。ラブ & ベリー」。

カードゲームで、ブームといっても、恥ずかしながら、知らない。

 ただ、ここでも、その踊りを映像に合わせて、とても小さい女の子が、ぴったりのタイミングで踊っていたから、そのブームは本当だと確認するような気持ちになる。オシャレをテーマにしたカードゲーム。

 

 常設展で、奈良美智も見ることができた。よかった。

 そして、フランシスベーコンの作品が、ここにあったのを知らなかった。よかった。なめらかな感じが、いつもする。妻が、私が、どうしていいと言うのか少し分った、と言った。

 

 美術館の一角が、カフェになった。

 うれしい。

 そこで、今回の企画に合わせた「きらりん パフェ」を食べた。星形がちりばめてあった。いちごポッキーがさしてあった。妻も喜んでいた。よかった。

 缶バッチを買った。そこの臨時の売り場の年輩の女性が、「くさまさんの缶バッチ」と自然にさんづけで呼んでいた。帰りにアンケートに答えて、小さなポスターとポストカードと缶バッチをもらった。充実した気持ち。私は、そこから母の入院する病院へ向かい、妻は家へ戻って、義母がデイサービスから戻ってくるので迎えに行った。

 楽しかった。

 

 

 

 

(2007年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

yokohama.art.museum