2015年2月7日。
写真展。
青森から、北海道。それもアイヌの言葉での土地名の場所を北上していき、その間に写真を撮って移動して行く、という企画。そして、北海道から、さらに樺太まで渡って、という行程でまた撮影もしていて、その道筋は、すでに未開でもなければ未踏でもないのだけれど、だけど、まだ北に行くのか、さらに北上するのか、日本のすぐそばに、こんなにまだ知らないような場所があるのか、という気持ちになれた。
もちろん写真で、しかも、表面的にしか見れていないと思うけど、それでも、遠くに来てしまった、というような気持ちになれて、そして、いつも自分が暮らしているところとは、違う場所ということはハッキリと分かる。
近いけど遠い。
そして、この行程を進んでいくには、国境を超えるから、難しい事も多そうで、そして、よくテレビなどで出てくるヨーロッパの絶景といった風景とはやはり遠いものが写っていて、なんだか不安な気持ちもなった。
そして、4階まで展示を見て行くと、写真はだんだんと北上していき、それも2人の写真が並び、その上で、その時に使っていたものだけでなくて、さらに二人のもっと小さい時の写真とか本とか、そういうプライベートに関わるものも多く展示されている。それは、どこかで自分も読んだ事のある本を探したり、さらには、奈良の場合は、若い頃のドイツ留学の時の日記なども飾られているから、何かがトータルな雰囲気になっているというか、こういうバックグランドを持った人が、今回の旅のような、というか移動をしました、と言われているようで、そうすると、時間とか場所とかが、もっと重なりあって、しかもこの二人の年齢も違うのだから、さらに時間の流れ方が複雑になるような気がして、そういうもので生じる豊かさで、今回のさらに北へ、という移動だけでないものが感じられるようにもなっていた。
写真は、撮ったばかりでも、すぐになつかしくなるのかもしれない。
妻は、トナカイのツノにびっしりと柔らかそうに毛が生えていることを知り、そのことを繰り返し語っていた。それだけ、やっぱり寒いところなのだと改めて思う。
(2015年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。