2006年12月20日。
西洋美術に、私よりはるかに詳しい友人とも一緒に行けることになった。
東京駅で待ち合わせをして、バスに乗る。
美術関係者の中で大竹伸朗のことが話題になっているらしいことを知った。それほどいい評判ではないようだったが、自分がかばっていることに気がついた。でも、それまで無視してきたとしか思えない美術関係者の間で、急に話題にしているらしいのは、やっぱり東京都現代美術館で、しかも、展示室をすべて使って、というのがインパクトがあるみたいだった。
美術館は、思ったよりも人がいた。年末の平日なのに。
最初は、スクラップブック。どうして、こんなに張るんだろう?どうしてこんなに塗るんだろう?厚くてパンパンになったスクラップブック、といっても、ベースになっているのは、おそらく丈夫さも考えて、画集だったりもするみたいだけど、でも、気持ちいいんだろうな、とも思う。
小さい頃からの作品が並ぶ。
ある意味、あんまり変わっていない。どうして、この頃のまで、とも思ったが、後で大竹伸朗のインタビューか何かで、子供が見るとしたら、自分と同じ歳の頃の作品がないとダメなんだよ、と話しているのを知って、すごく納得がいった。
若い頃、べったり欧米化の作品。
別海の写真。
20代から30代。ゴミとか言われて、でも、ゴミではなく、やっぱり作品で、やっぱり何だか圧倒的で、網膜シリーズは、汚染が最悪の頃の多摩川みたいで、体に悪そうで、すごい作品だった。
あとから、あとから作品がある。
日本景。
最初にパルコで見て、スゴい、と思った作品だ。
それまでは、ゴミとかは言っても、西洋の人、みたいに思っていた。かっこいい人達の作品、みたいな気がしていた。でも、ここから、ホントにリアルな感じがした。ここから、それまでのファンが離れそうな感じまであったらしいいが、ここから本格的にスゴいと思えるようになり、そうすると、過去の作品までよく見えてきたような気がするのだった。
妻と友人の、二人に一応、気を使って、展覧会を見終わった。
来てよかった。
Tシャツを、さんざん迷って、「別海」を買った。
缶バッチも買った。
2時間近くかかった。
12月24日。
再び行った。
1日たって、もう1回みたい、と思うようになった。
24日に、母の病院に行くのを休んで、一人で出かけた。
クリスマスイブだった。
会場は、混んでいた。
カップルも多かった。
前回よりも、じっくりと見た。
この前、完全に見逃していた、という作品も少なくなかった。
網膜シリーズも、体に悪そうな気持ちがしたのだけれど、今日はじっくりと見て、いいなー、と素直に思えた。
会場には、大竹と組んでいることも少なくない都築響一氏を見かけた。写真で見るよりも、いい人相だと思った。ユリイカで見たハードなファンの菊池さんという女性もいた。
さっそく着ていった「別海」のTシャツは汗で濡れて、途中で着替えた。
ゆっくり見ることができた。
途中で、地下の展示を見ていて、そこから見上げると行列が出来ていた。入場まで、30分待ちらしい。変だけど、嬉しかった。
また来てよかった。
この展覧会をやった、この美術館は偉いと思う。と上から目線で失礼かもしれないけれど。
それから、約1年(2007年10月16日現在)たち、その時に申し込んだカタログは、まだ来ていない。途中で、複数回、遅れることをあやまるポストカードなどが届いたので、かえって得をした気持ちになった。
(2006年の時と、2007年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。