アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

セメタリーアクト 硬軟企画「超絶縁体」。2019.4.6。某霊園。

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セメタリーアクト 硬軟企画「超絶縁体」。2019.4.6。某霊園。

2019年4月6日。

 ツイッターで見つけて、コンビ二でネットプリントをする、というやったことがないことをやらないと、どこでやるかも分からない。パフォーマンスを霊園で行なうということで、迷ったのだけど、そのやり方も、興味深かったので、天気もいいから出かける。

 

 初めて降りる駅。霊園に向けて歩くと、仏具のものばかりを売っている店が並んで、温泉街みたいな、別の世界に入り込んだような場所だった。霊園がとても広くて、その入口が、郊外にある大きい大学の門みたいな感じで、そこのところに座っている若い人に声をかけられ、少し話す。同じパフォーマンスを見にきた人のようだった。その人に、ここの付近は、仏花のレベルがとても高いことを教えてもらって、それだけで、ちょっと楽しくなった。

 

 それから午後2時30分になり、実施になった。硬軟氏がやってきて、説明を始める。それは、この霊園の中に、7人のパフォーマーがいて、パフォーマンスをやってます、でも、どこでやっているか分からないので、放置プレイみたいなものですかね、すみません、的なはじまりだった。とはいっても、一時間半あるから、3人とか4人くらいは会えるのではないか、うまくいけばもっと、と思った。

 

 とても広い。思った以上に広大で、最初に墓石に紙をつけて、鉛筆みたいなもので文字を浮き出している人が、パフォーマンスですか?と聞いたら、は?みたいな顔をされて、何をされているんですか?と聞いたら、お墓の会社の人だった。

 

 それから、歩いた。天気がよくて、地図を見て、だいたいくまなく歩けば、と思っていたが、本当に広くて、思った以上に墓石関係の人が働いていたり、中には新日本プロレスのTシャツを着ていて、パフォーマーかと思ったら、やっぱり墓石会社の人だったり、何しろ墓石が並んでいると、見通しはよくなくて、本当に分からない。

 

 1時間たった。

 誰にも会えない。

 あきらめかけた時に、墓に向かって、声を出し、歌っている女性がいた。特定の墓ではなく、大きい道路から、墓の一直線のすきまというか、通路に向けて、声を出している。歌のような、叫びのような、でも美しい響きで、こういう場所にふさわしく、この場所への敬意みたいなものも感じて、その歌が終わるまで待って、話を聞いた。

 

 田上碧さんという人で、骨のある場所だから、顔の骨を響かせるように声を出すようにしてました、といったことを説明してくれて、やっと会えて、御礼を言って、また歩く。途中で、忙しそうに何かしている人がいたけど、確認する前にどこかへ行ってしまった。

 

 あと10分を切った。

 もう無理だろう。スタートした正門に向けて歩いて、途中の芝生で、パフォーマンスをしている人を見た。たくみちゃん。という人らしい。すごくパフォーマンスというイメージの動きをしている。

 

 午後4時になり、そのそばの芝生の上でシートをひいて、飲みものを用意してもらったりして、振り返りみたいなことになるが、どの人がどの人か分からないままで、なんとなく若い人ばかりで積極的には聞けず、でも、霊園の中で忙しそうだった女性が、パフォーマーだとは分かった。さっきの、たくみちゃんという人が、またパフォーマンスをやってくれて、それは感覚を先にいかせて、言葉を発し、そこに体の動きをひきつれていく、といったイメージの動きだった。

 

 パフォーマーの一人が、ちょっと置いていたスマホがない、と言っていて、すごく不安そうだった。30分くらい時間がたち、次はお店に移動みたいな話になり、そこまでいたら、いけないのではないか、と思い、主催者に、そっと御礼を伝えて、帰った。連絡方法は、携帯も持っていないので、ラインもなくて、ツイッターもしていない。ツイッターをフォローでなくて、ブックマークで見ます、と伝えたら、フォローよりありがたいです、と言われた。気を使ってもらって、ありがたかった。

 

 企画して実現したこと自体、おもしろいし、すごいとは思った。ただ、もう少し見つけやすかったらよかったのに、と思ったが、主催者は、もっと長い時間にすれば、と言っていて、そうなると体力的には無理かもとは思った。

 

 

(2019年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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