アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

エンプティ・ガーデン展。1999.4.24~11.7。ワタリウム美術館。

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1999年9月26日。

 

 気持ちがふわふわと定まらない。母と一緒の生活。でも、まだ動きは異常に遅いまま。本人だけが治った気でいる。周りは、再発の恐怖が、まったく抜けない。この感情は、大学受験の浪人の時と同じようなものもまじっている。でも、目標もはっきりしなければ、先もまったくない。それに、あの時と違って、もう若くない。

 

 ワタリウム美術館は、いつも人が少ないが、広さといい企画といい好きな場所。

 

 オラフ・ニコライが、渋谷の街灯を再現した作品があった。少し後にイースタンユースがCDのジャケットに使った時、お、エンプティ・ガーデンだ、と勝手に一人で喜んだこともあったが、それも含めて、少したった後でも、やっぱり思い出すのは、いつもは行かない屋上に出来た何も手を加えていないホントに小さな庭園。ロイス・ワインバーガー。景色がざらざらしていて、ずっと低い騒音が聞こえる感じがあっても、やっぱり建物の屋上の気持ちよさ、といったものも思い出す。子供の頃、鉄筋の社宅の屋上は、空が見え、そして好きな場所だった。それにしても、いい歳になっても子供の頃のことは、関係あるんだ。生きてる時間の短さみたいなものなのか、みたいなことも思った。

 

 そして、カールステン・ニコライ。ショルダースピーカーをかけ、そこから流れる電子音と共に美術館を出て、外を歩いていき、(このスピーカーだと外と遮断されずに、でもその音楽もはっきりと聞こえ、確かにまじっている感じが気持ちいい)小さな庭園(建築家会館の庭)にたどりつく作品だった。妻のスピーカーの音が途中で出なくなり残念だったが「ノト」という作家名で、オンサンデーズで売っているかもしれない。欲しいと思ったのは、この作品が印象に残ったせいだと思う。

 

(1999年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

www.watarium.co.jp