アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「紺泉 ある庭師—多分のひととき」。2007.8.10~8.31。原美術館。

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「紺泉 ある庭師—多分のひととき」。2007.8.10~8.31。原美術館

 

2007年8月25日。

 原美術館へ、友人と一緒に待ち合わせ、五反田で無事に会えた。

 

 コレクション展。いきなり大竹伸朗の作品があった。網膜シリーズ。このくらいの時の作品が一番いい、と友人は言っていた。私にとっては、これで、このまま行っていたら、今ほど興味を持てなかった、とも思っている。日本のぱっとしない光景を描き始め、それで、とても感心したのだった。それは直線的な欧米化とは違う、どこか神経をさかなでするような事なのかもしれなかったけど。

 

 その隣に藤本由起夫のガラスの板にたくさんのオルゴールがつけて(?)ある作品。ねじを巻いてもよくて、3人で同時に巻いて、音が出て、という手順が面白かった。でかいオレンジの作品が意外とよかった。

 

 ここは警備員もいないし、ゆっくりと見れるし、広さも手頃…いう言い方もどうか、という部分はあるにしても、来てよかった、という気持ちがわりと穏やかに起こりやすい。もう、7年もたつ須田の作品。最初はピンと来なかったけど、行くたびに少し好きになった宮島達男の作品。奈良美智の部屋。今回は、去年、青森で見た背景のある奈良の作品も見て、人物の感じがうすくなって、少しカワイイというよりは、ある意味、コワクなって、でも、見て、いいなー、と思えたりしたが、今回は、三島由起夫に扮した(という言い方がなんか違うと感じるのだけれど、それでいてモノマネともかなり違う)森村泰晶がアートに関して、三島のように、演説の後に切腹した三島のように…この時の様子って具体的には報道されなかったようだけど…しゃべって、見ていて、あ、最後どうするんだろう?と思っていたら、万歳三唱でしめた。なんだか、スゴくよかった。

 

 そして、企画展である紺泉は、庭にあざやかな緑色を並べたり、ブロッコリーの皿をたくさん並べたり、(これは、やっぱり販売していた)絵も、きれいでよかった。昔見たメガネやハイヒールを見た時と、いい意味で同じような印象で、まとまりがあるのだけど、独自なものがある、と思い、好感が持てた。

 

 しかも、カフェのメニューにも、作品としてのデザートが2種類あった。それに、いつものイメージケーキもあったから、3種類も食べれた。加藤美佳の作品で「みんなのお墓」というタイトルのもので、これは作りやすいからだな、とすぐに思った。宮島達男のTシャツ、色が変わるボール、「どうにかする力」のときたま、なども買って、帰りは品川の駅ビルの中のカレーを食べ、長い時間、話して、ホントに満足な一日になって、ありがたかった。だんだん、母のこと、その日々のあのつらさも、急速に薄れていく、その薄れ方も、薄れていっている事も意識しないと、どんどん変わっていっている。

 

 

 

 

(2007年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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