2001年10月27日。
2回目のメイン会場。桜木町から、歩く。
今日は妻と2人だけ。
パシフィコ横浜。その途中で、インターコンチネンタルホテルの壁面で、初めてバッタを見た。ホームページなどで、何度か突風で破損したり、週末にしか上げないと知っていたので、でも間近で初めて見ると、ああでかいな、と改めて思った。ただ、バルーン制もあってプックリしていた。その足が色違いで、緑ではなく茶色になっていたのを見て、殿様ばったならば、足の色は緑ではなく茶色のはず。と後で知ることになる。ただ、その後、このバッタは、また突風にやられて、この2〜3日後から展示が不可能になったらしい。結局、実動時間というか日数に直すと、バッタはほとんど働いていないのでは、ないかとも思った。
パシフィコ横浜は、大丈夫かと思うほど、入り口が混んでいた。
中に入る。
真ん中に通路。
その右側を、この前は見たから、今日は主に左側を見よう。
気持ちは再び、オリエンテーリングになっている。この天井の高さが塩田千春の巨大な服以外には、メリットになっていない気がする。
伊藤存。刺繍を粗く糸でくくった絵。それを映像にしたもの。それはよくあるレースのロマンチックさが全くといっていいほど存在しない。ただ、いろんなものが、ただ一緒になって映っている、妙な悪夢のような、それも湿り気が少ない感じ。しばらく、見ている。気持ちにフィットする気持ち良さを感じる。それは癒し系と言われるものとは、ものすごく違うけれど、たぶんウソがない、ということのような気がする。
ヨンボック。天井に穴があき、そこに台を使って、頭を突っ込んで見る作品。なんて言うこともないようなものが、そこにはあるけれど、鋭角的に区切られた三角形の先ッポみたいなものが、すぐそこに見えたり、この会場の天井のすごい高さが妙にリアルに感じられたりして、何だかおもしろく感じた。
ソウォン・クォン。映像に、微妙にずれる骨組みが人体にそうように動いて、これは前回、その作品の一部しか見てなくて、今回は全部、見たけれど、ポストカードを買うくらい、映像でおもしろいと思った。
ヘリ・ドノ。この人の個展は見たいと思っていて、見られなかった。素朴そうに見せて、そうではない立体。でも、手仕事の魅力みたいなものを自覚的に見せているような気もする。今回は、高さ3メートルくらいの木で出来た人体。男と女。その違いが妙にはっきりと分かるようになっている。そこに穴があって、のぞきこめるようになっていたりする。この人の他の作品も見てみたい。
マリール・ノイデッカー。かなり大きい面積を占めたアルプスのジオラマ。水がはってある水槽の中にある。最初、水があるとは分からない。この大きさがおもしろかった。そういえば、他にもアルプスのジオラマみたいな作品があって、ものすごく似てると思った。
スン・ユエン+ペン・ユー。人の脂肪を集めて、それを見るからにギトギトの柱にしてある。こってりのこってり。会場の熱で少し溶け出しているようだった。
会田誠。小さな少女達がミキサーにかけられている絵。妙なCGを使った絵。浮浪者がいたという設定で作られたらしい汚い畳をベースにゴミをくっつけた作品。首を突っ込んで首吊りの形になると、そのままはずれてしまう自殺未遂機。これはビデオで使うところが出ている。そしてそのブースにはパンチラをテーマにした俳句が並んでいる。国際化を意識した、というが、そのパンチラに独特の熱気を持ってしまう文化は特殊かもと思い、その後で「サルまん」のパンチラの進化というページも思い出す。空き地に落ちているエロ本な感じが、妙な湿り気があって、いいなと思う。
作品は、20も30も見たけど、これ以外は秋元きつねのアニメが、おもしろかったくらいで、他はそれほど印象に残らなかった。多すぎるような気もするし、自分の体力の問題もあるかもしれないが、求心力といっていい開く側の自信や意志がそれほど強く感じられず、しょうがないかもしれないけれど、4人のキュレーターを起用したら、オールスターにしかならないだろうな、と生意気かもしれないが、改めて思う。
(2001年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。
「横浜トリエンナーレ2001」