2016年9月3日。
2階への階段を上る。
映像が多い。政治的な文が並ぶ場所。ドアをあける。
街中で、おそらくは寝込んでしまっている人に、ビニールらしきものをかけている。そのビニールには、企業名が並んでいる。ヘッドフォンで聞こえてくるのは、呪文のような標語のような言葉。
イルカの死体が静かに映っている映像。
リカちゃんのミュージアムらしき映像。
何か分からないけど、介護の場面みたいなものがちらっと映る映像。
外はテラスみたいになっていて、そこにのぞきこむ形で見る映像。「ほんとの空は上なんだよ」と叫んでいる。上を見ると、空が広がっている。
戻って、投げ銭を100円入れて、そこにいる人に話を聞いたら、作家本人だった。
街中で寝込んでいる人は、金曜日の終電から始発の時間までいると、けっこういるらしい。そして、ヘッドフォンから聞こえる声は、ビニールにある企業の社訓らしい。すごくきれいな言葉ばかりだった。そして、その企業名は、今でいうブラック企業らしい。それを、金曜日の夜に酔いつぶれている人たちにかけている。いろいろな意味が、その話を聞くと、頭の中で立ち上がり、おもしろい作品だった。
そのあと、もう一回、御礼の意味をこめて、投げ銭をしたが、500円しかなかったので、それでも少ないから申し訳ないけれど、えい、と思っていれた。そのあと、戻ったら、たまたまなのか作家が来てくれて、そこにある政治的な文章の意味を教えてもらった。反原発で、5年も霞ヶ関の経済産業省前に座りこんだ人たちがいて、それはかなり高齢の方々らしのだけど、その小屋にあった垂れ幕らしい。それも、古びていると思ったら、そこにあったのをもらうかわりに、同じものを新しくしてこの作家が作って、渡したということだった。ここに歴史が保存されているということになる。この小屋が撤去されたのは、8月の最後くらいだったらしいが、その時のニュース映像も流されていたが、そこに映っていたのは5年もそこにあったとは思えないような新しい垂れ幕だったのが、それを知っていると、分かる。
今はジャーナリストよりも、アーティストが、こういう今のことを残す、という仕事をしているのかもしれない。
(2016年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。