アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「瀬戸内 直島旅行」①。2016.6.7~6.9。1日目。直島に着くまで。

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2016年6月7日

 やっと行けたというよりも、行けるとは思っていなくて、いつか行けたらいいね、とどこか夢物語としての話で、毎年、その場所についての情報だけは増えていくが、今の介護を続けている状況では、決して実現しないことだと思っていた。

 

 旅費もかかる。時間もかかる。ショートステイに預けたとしても、その間、誰もいないような状態では、妻は不安で無理だから、誰かに、というか、義姉に頼むしかなくて、そんなこんないろいろな事をすべてクリアするというのは不可能だと思っていたが、義母が100歳を迎えて、いろいろなところからお祝いをもらったり、お祝いの言葉もいただいたし、すごいですねと評価もされた。

 

 だけど、それに対して17年みて来た主介護者である妻に対してのちゃんとした評価みたいなものを聞く機会がほとんどなくて、どこかちょっとイラっとしていた部分はあって、そのため思い切ってベネッセハウスの予約をして、それは1週間前ならキャンセルしても大丈夫ということもあったが、それに加えて飛行機の早割を使ったが、それはもう無料でキャンセルということも出来ないのも知っていたが、それでも払う料金よりも早く予約することで得する料金の方が多いので、と思い切って計画を立て、義姉にはショートステイの期間に毎日1度は来てもらうようにお願いして了承してもらい、少しずつ日程が近づいて来ても、義母が寝ながらくしゃみをしたり、遅くまで起きていて、午前5時までトイレに連れていっても、すぐに起きたり、といったことがくり返され、カゼをひいて中止になるのではないか、と薄い恐怖感で眠れなくなったりもして、行けなくなるんじゃないか、という気持ちは旅に出る前日まで続いた。

 

 やっと出発できた。飛行機の予約から、その手続きのための書類をプリントアウトするまでに手間がかかったりして、しかも早起きだから、つらい部分もあって、だけど、荷物を持って、空港に出かける。荷物は、機内に持込めますか?と聞いて大丈夫と聞いて、すごくホッとしたものの、早めに保安所を通ってタリーズコーヒーが中にあったので普段なら食べないサンドイッチなどを食べて、余裕を持っていたら時間がたって、搭乗口で名前を呼ばれたりもして、焦ったが、飛行機で飛び立った。7年ぶりの飛行機。だけど、ここからは、もう自分と妻のことだけを考えていればいい、というぜいたくな時間で、それがとてもありがたかった。

 

 高松空港に着く。15分しかバスへの乗り換え時間がなくて、けっこう焦ったりもしていたが、バタバタして妻はトイレに行き、飲み物も買わないと、と思っているうちにバスが1台出発してしまい、ああ、と思っていたら、もう1台バスがあって、そこから1時間くらいかけて高松駅に着いた。

 

 ここからはフェリーだけど、まだ1時間半くらいの時間があるので、ここのそばにあるうどん屋のことを探したら、ちょっとうろうろとしたら駅前にセルフで、看板がダシにつかったような古い店があって、とまどっていろいろと聞いて、うどんを食べた。

 

 そのあとコーヒーを飲んで、フェリーの乗り場について、なつかしい感じのする船内で、ゆったりと出発した。海を見ながら時間がたつ。

 

 すごく遅いスピード。見慣れない景色。うきうきもしていて、さらに時間がたって、赤いかぼちゃが見えた。直島だ。わらわらと妻を含めた何人かの観光客が動いて、撮影をしていた。それを見て、やっと来たと思えて、だけど、この現実がいつもの生活と違っていることに体が納得してないようだった。でも、まったく違う、初めての場所。しかも知らない島。

 

 ただ、港には人がいて、ガラスばりの待ち合わせ場所のようなところがあって観光地だと思えて、フェリーを降りて、ホテルの送迎バスが来た。

 

 名前だけを聞かれたら、部屋の番号を言われて、ええ、とこたえたものの、その番号までは覚えていなかったものの、それでやっと本当に予約が出来ていたんだというのと、それだけで確認できるのが凄いと思って、バスは出発し、知らない狭い道をくねくねと走って、現地に着いた。

 ここが安藤忠雄が設計したベネッセホテルだった。

 やっと来た。

 

 フロントで、手続きをして、ウエルカムドリンクがあるというのでギリギリだけどカフェに行った。

 その外には大竹伸朗の作品が見えて、海が見えて、空が見えて、うそみたいな場所だった。

 本当に来たんだと思ったけど、まだ現実感が少なかった。

 

(2016年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

benesse-artsite.jp

 

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