1998年9月19日。
それまで全く知らない人だった。彫刻家だった。ザッキンって、漢字だと雑菌になってしまう。ビョークが、病苦で、たぶん特に年寄りには縁起でもないものと思われる、ということでは似てるかもしれない。
そのザッキン展の前に、そのザッキン美術館の女性館長の講演も聞きにいった。いろいろ聞いたはずなのに、あんまり内容を憶えていない。ただ、長く持つようにという彫刻の常識ではなく、木を使って、その彫刻が腐っていくのもそのままにしておいたというのは、印象に残っている。一通り話が終って、「観客動員数以外で、どんなことを展覧会の成功の基準にするんですか?」という質問もできなかった。
彫刻の作品は、思ったよりよかった。ブロンズって硬いはずなのに、時々妙に柔らかく見えたりする。そして、たぶんこの作家の晩年になって、構造が、より複雑になってきて、それが空間の取り込み方に粘りが出てきたように見えた。彫刻の中に存在するような空間まで、妙に有機的に柔らかそうに見えてきたということで、これも、作家の思惑にはまったということかもしれないが、とてもよかった、と思った。
(1998年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。
「ファブリ世界彫刻集 ザッキン」
「庭園美術館へようこそ」