アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「なぜ、これがアートなの?」。1998.10.8~12.6。川村記念美術館。

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「なぜ、これがアートなの?」。1998.10.8~12.6。川村記念美術館

 

1998年11月29日。

 

 同じ展覧会を違う美術館で見たのは初めてだった。川村は、美術館全体を使って繰り広げていた。ロスコルームもテーマに取り込んでいて、とても気持ち良く、宮島達男のカウンターは暗い部屋の中を走り回っていて、おもしろかった。後でリストを見ると、豊田市と大部分が同じ作品のようなのに、かなり違った印象だった。空間の使い方、そして美術館の構造自体の違い、並べ方の違い、そうしたことは思った以上に印象を左右する。

 

 それに、この前見てからの3ヶ月という時間のせいもあるかもしれない。フェルナンダ・ゴメスの紙や毛や糸屑で満たされた小さな空間は、豊田市の時に妻に見せたい作品のナンバーワンだったので、ここでもあって、よかった。それも、ここでは、作品の中に入ってもよかったのだ。うれしかった。

 

 それにしても、なぜこれがアートなの?というテーマは、アートがアートとして認められ、よくも悪くも自信たっぷりなジャンルじゃないと意味がない。ただ、この企画者がニューヨークの美術館の学芸員らしいから、そういうアートそのものが認められていないかもしれない、という疑いは頭では分っていても実感からは遠いのかもしれない。

 

 ギャラリートークで、ただ説明を聞くだけではなく、参加者も話していくという企画は思ったよりおもしろかった。最初、観客として集まり、「みなさんは、残というとどんな言葉を思い出しますか?」という質問があり、残心とか、くだけて残業とか、私はわざとらしいが、残飯などと答えているのに、妻は恥ずかしそうに「残といえば、残尿しか浮かびません」と言い、学芸員も少し引いていた。ただ、妻の発言自体がアートに近く、すごいと思っていた。

 

(1998年の時の希望です。多少の加筆・修正をしています)。

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