アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

トム・サックス「Test Module Five(Urinal)」。2000.4.14~5.13。小山登美夫ギャラリー。

2000年4月15日

   ブルータスの特集で、アートを取り上げていた。それも最近、好きな作家が国内、国内問わず出ていて、嬉しく、すぐに買ってしまった。そこには、自分が知っている作家もかなり多く、改めて最近思ったよりも、よく見てるんだなと思ったが、逆にただ何かの意図に乗せられているような気までするほどだった。

 

 そして、中でも自分が知らなくて、その小さな囲み記事のような狭いスペースでも魅力的に見える作家、作品があると電車の中でもそこに付箋をつけたりもした。変に勉強熱心なところが自分にもあると変な発見もしたが、その中にトム・サックスという作家がいて、それだけではそんなに気にならなかった。

 

 エルメスなどのブランド品のバッグを分解して、それを使ってマックのハンバーガーセットを作っているような作品の写真があった。だが、その後、スタジオボイスで、同じ作家の展覧会が日本で初めて開かれて、そして、残酷さ、が特徴の一つのような表現がしてあったのを見て、単純だとは思うが、見に行こうと思った。小山登美夫ギャラリー。この前、坂井淑恵のぼんやりとややエッジの効いた作品を見たのもそこだったし、村上隆のも見た。食料ビルという古く、コンクリートの中庭のある古い不思議な建物を妻と一緒に行ってみたいと思っていたせいもある。

 

 水天宮の駅で降りて、雨が降る中を大きな橋を渡って、そのギャラリーへ向かった。

 相変わらず、不思議な空気のこもったビルだった。トム・サックスの作品は便器をモチーフとした作品。それをプラモデルのようにわざと粗さを残して立体として作ってある。他に、レコードプレーヤーなども同じような感じで作ってあった。便器はデュシャンへとつながっているような文章を載せた雑誌のコピーもあったが、それは少し疑問だった。

 

 便器のメカニズムこみで描いて制作してある作品が良く、これで残酷さを語ることがわからなかった。ただ、こちらの理解が足りないだけだったり、もっと多くの作品を見ないと分からないだけかもしれない。

 

 頭も良く、器用で先も見える作家なのだろうけど、ニューヨークで本物の拳銃を観客に渡したことが伝説みたいになり、それで余計に残酷さなどと言われるようになったかもしれないし、そのことだけで語ってはいけないなどとも言われているようだが、やっぱり、そういうことはどこかで必要以上に評価を上げてしまうことにつながっているような気もする。

 

 

(2000年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

tomiokoyamagallery.com

 

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