アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「風景との対話」。1996.7.6~9.23。静岡県立美術館。

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「風景との対話」。1996.7.6~9.23。静岡県立美術館。

 出張で、サッカーのトレーニングの取材に行った。ある強豪高校の朝練と午後の練習の間にかなりの時間があり、その時にホテルから歩いて電車に乗り、二つ目の駅で降りて歩いて15分。静岡県立美術館に寄った。ゆるやかな坂を何分も上がっていくと、彫刻が並んでいて、草間弥生の点だらけの大きなカボチャが玄関先にある美術館は立派だった。本館の他にロダン館と名付けられた天井がとても高い建物まであった。立派という言葉が似合う彫刻が並んでいる。

 

 美術館の展示のテーマは『風景との対話』。入場券が厚紙で富士山の形をしている。でも、開館10周年記念と名付けられたこの企画の内容は、後になると、ほとんど憶えていない。広かったことは記憶に残っている。そのパンフレットを見ると草間弥生、ドナルド・ジャッド、フランク・ステラアンゼルム・キーファー。その後もかなり気になり続ける人達の作品があったのに、憶えていない。ただ、その中でメモしてあり、憶えているのは日常風景の写真をシルクスクリーンで転写したもの。作者は野田哲也シルクスクリーンをやはり使っていて写真を変化させている作品は好きだった。作者は鳥州一。いつの間にか、シルクスクリーンばかりが気になるというのは、アンディ・ウォーホールの影響を強く受けているのかもしれない。

 

 それにしても今まで仕事で少しはあちこちに行っていて、今振り返ればあそこにもここにもこういう美術館はあったんだ。と、今なら思うのだが当然ながら、アートに急に興味を持つまでは自分にとっては存在しないと一緒で、そういうことは誰にでもあって、同じ世の中に生きていても全く違うものを見たり思ったりしていると、こんなことでも改めて感じたりする。何年か前の自分と、今の自分でもアートへの興味に関しては全くの別人だから。誰にでもそういうことはあって、いい意味で変化することが多ければ基本的に楽しい毎日だろう。

ということは、確かなことの一つだと今は思っている。

 

 

(1996年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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