アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「悪い予感のかけらもないさ展」。2016.10.7~10.30。横浜市民ギャラリーあざみ野。

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「悪い予感のかけらもないさ展」。2016.10.7~10.30。

横浜市民ギャラリーあざみ野。

2016年10月27日。

 以前、ここでやっていた展覧会が予想以上によくて、見終わってからもしばらく気持ちの中で漂うようにイメージがあって、それでしみじみとしつつも、親子とか死とか、そんなことまで考えるというか、感じるというか、知らない作家ばかりだったけど、そして、失礼ながら今は名前を忘れてしまっているけれど、それでも見てよかったと思ったし、無料で見せてくれるなんて、それも含めてとても有り難い展示だった、という記憶があるから、今回も、展覧会の名前が自分というか、自分達くらいの世代にもキャッチーで、だから、行こうと思っていたけれど、今月は何度も展覧会に行っているから、時間のこともあるし、やめようかな、とも思っていたが、妻と相談したら「行ってくれば」と言ってくれたので、一緒に竹橋の美術館へ寄ったあと、地下鉄を乗り換えて、自分だけギャラリーに向かい、午後4時半を過ぎていたから、映像作品が多いので、ちょっと焦りながらも、一度は来たので、少しなじみのある気持ちになって駅を降りてから道路を歩き、着いた。

 

 1階と2階に分かれていて、かなり広めのスペースをとっていて、その上、パンフレットももらえるから、いたれりつくせりな気持ちになるが、一人でいると、微妙に緊張して、御礼もちゃんと言えない。

 

 最初は鉛筆画。関川航平の作品。パフォーマンスから、この作品を作るようになった、といっても、なんだかあまりピンとこないのは、鉛筆で描かれた作品をいくつか見てきてしまったせいもあるだろうし、その題材もどこにポイントがあるのか理解もできなかったので、やっぱり印象が薄いままだった。

 

風間サチコ。ガロのマンガの一ページみたいな感じに見えて、どこか不穏な空気感があって、それは本人の狙いでもあったようなのだけど、家が、それも住宅展示場に並んでいるような家の木版画は、目をひくし、時間がたつと、いろいろな見え方がするような作品で、多数派でないし、経済的にも貧困に近い人間が、何かを言うと、ひがみにも聞こえてしまうのかもしれないが、家を建てるために30年以上のローンを組んで、それはもちろん家族のためなのだろうけど、誰もがそうするものだ、に乗り過ぎていないのだろうか。会社をやめる自由も、そこで手放すような気もするし、などというようなことを思わせるような仕上がりにもなっていた。

 

 岡田裕子会田誠の奥さん、というような言い方だけだと失礼だけど、でも、去年は会田家(愛だけ、に変換されるんだ)で作品も出しているから、アーティスト同士の夫婦として、さらにはその子どもも含めて、才能や好みの質が似ているような気がして、今回は、個人的にこもるようなものではなく、外へ開かれて、人とのつながりみたいなことまで出ている作品で、だけど、映像が20分以上あったので、情けないのだけど、残り時間を気にして、半分も見られないまま、あとで時間があったら戻ってこようと思って、2階へ行く。

 

 金川晋吾。行方不明だったおばの身元引受人になってくれと連絡があり、そのおばを撮影した作品。おそらくは認知症にもなっているであろう老女の姿があって、ものすごく生々しくこちらをまっすぐに見つめてくる写真が並んでいて、それは今の自分の生活の近くにある画像だから、すごく引きつけられた。自分も何か撮っておかないと、といった気持ちにもなった。

 

 鈴木光。映像作品。ふくしまとベルリン。どちらも歴史的に意味のある場所になった。この作家が話している映像と、パンフレットの言葉の中に、『ベルリンに行った時に、ある子どもたちの映画ワークショップみたいなものに出会いました。その子たちは全員難民の子で、親はアルジェリアなど各地から来た難民なのですが、その子たちがハンドカメラで映画を撮って、彼らと同じ境遇を持つ移民2世に「どうやって国から逃げてきたんですか?」というようなインタビューをしていました。それを見た瞬間に「あ、僕これやらなくていいな」と思ったんですよね。それが結構大きいきっかけで、今回作品はそういうものではないものになっているというか』があり、それが、とても意義深い気がした。

 

 また戻って岡田裕子の作品を見る。時間を気にしながら、だけど、比較的ゆっくりと見て、1階の他の作品ももう一度見て、そこから出た。

 

(2016年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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