2004年8月19日。
入院中の母の外出で、平塚市美術館へ行く。
行きのタクシーで女性の運転手で、なんだかホッとする。
行く前は、絵ではなく、かごの展覧会で、母に確認したが、何しろ6月の末以来、外出をしていないから、外へ出られることの気持ちが優先していたようだった。
タクシーの中でも久しぶりね、を連発し、出かけていなかったことが、何だか悪くなる。
平塚市美術館は、トウキョウポップ以来、勝手に恩義を感じている場所で、そう思うせいか、なんだか好感度が高い。高い天井。綺麗な空間。
2階まではエレベーターで行く。
カゴの最初の部屋は、日本各地のいろいろなカゴが壁にいっぱい、そして、部屋の中にもあった。
うなぎを入れるかご。堆肥を運ぶかご。桑の葉を集めるかご。
薄暗い部屋で、どうも何があるのか分らないくらいで、不吉な感じがしたが、でも見ているうちに、母にもなじみのあるようなカゴが出てきたようで、饒舌になってきて、何回も聞いた夏休みの群馬のカイコのために桑の葉をつんだのよ、という話を、美術館では大きめの音量で話し始め、ひやひやしながらも、それだけ熱中して見てくれたのは、嬉しかった。
そして、他の部屋では他の国のものすごい明るい色のカゴや、現代の作家のカゴとはいえない変わったものとか、母は、近くで見て、ちょっと油断するとさわったりして、こわかったが、楽しんでくれたようで、よかった。
第2会場では、和紙をよって、それが葉っぱとツタのようになったものが部屋いっぱいに広がっていたりして、妻にも見せたかったな、と思った。
久しぶりの外出で、喜んでくれて、よかった。
それから、最後の部屋は常設展で、夏の情景というテーマでいろいろな絵があって、よかった。里見勝蔵という佐伯祐三をブラマンクに紹介したという、画家のイビザを舞台にした風景画もあったりして、そして、岸田隆生のちょっとふっきれたようなかけじくもあった。
絵も見られてよかった。
それから、1階で画集を少し見た。
とても大きい本。カバーから出すと、表紙のカバーが破れていたりしたが、3冊くらいを見て、母も喜んでくれた。それから喫茶店へ行って、母はクリーム白玉あんみつを食べた。ちょっと多いかと思ったが、全部食べた。
タクシーを呼ぼうとする前に市民ギャラリーでの書の展覧会を見た。興味深かそうに見ていた。やっぱり書道はなじみがあるみたいだ。
それから、タクシーをよんだ。あとは帰る道だった。暑い夏。部屋の中、タクシーの中は、冷房で寒いくらいだった、外をちょっと歩くくらいでも、熱気は分った。
(2004年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。
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