アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「まなざし ラインハルト・サビエ展」。1999.6.9~27。小田急美術館。

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「まなざし ラインハルト・サビエ展」。1999.6.9~27。
小田急美術館。

1999年6月22日

 1956年。ノルウエー、オスロ生まれ。大学で6年間心理学を学び、卒業直前に、独学で画家を目指す。6年後には、ノルウェーのナショナル美術展に出品し、その2年後、87年にはそこで1等賞となる。

 そんな経歴が、入場券の裏にも書いてあった。

 

 でも、そう言われても、ほとんど何も分からない。

 ノルウェーも、行ったことがない。

 ただ大学で学んだこととまったく別の道に進むことに、それほどの抵抗もないのは、サラリーマンとなって、なんでもやらなければいけない日本の常識に、どこかで根っからやられているせいかもしれない。学生気分じゃ困るよ。そして、入社したら、まず、それまでを下手をすれば早く忘れないといけない。みたいなノリが今でもあるせいかもしれない。

 

 布を人物像の服のように絵につけたり、絵のこちら側にガラスを置いて、そこに着色などをしたりして距離を作ったりするのは、『現代』という感じがするが、でも、この時代にこんなにストレートな人物の表情を出してくるなんて、人物が何か語っているような絵なんて、そして平気で社会派の気配なんて、凄い。もしかしたら、布やガラスも、そのストレートさを現代に通すための、一種の戦略かも、と思ったりもする。

 

「イギリスの炭鉱夫は、小鳥を深い坑内へ連れていく。空気が不足していれば小鳥が気配に気付き、鉱夫たちに危険を知らせるからだ。かつて美術家はいつもこの『予兆』のような鳥の存在だった」。

 

 作家の言葉として、入場券の裏に書いてあった。

 1989年以来、明らかに世界が変わった。そのことに大きく影響をうけているかどうかで、ずいぶんその後が変わってくるような気がしている。

 ただ、このサビエが、影響をうけつつも、あえてなのか、それとも、自分の方法でひらすらやろうとしているだけなのか、どちらなのかは、分からなかった。

 でも、少し恐かったけど、見て、よかった。

 ストレートでも、本気かどうかで、変わってくる。

 それが、分った。

 この作家は、本気だと思う。

 

 

(1999年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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