2013年12月9日。
妻の友人にいただいた招待券があったけど、いつの間にか、その展覧会の会期が終わりに近づいているのに気がついて、その終わりギリギリに行くことになった。義母をショートステイに預かってもらっている間に行こうとして、スケジュールをたてた。
モローという人は、友人が好きだからというので見に行ったら、思った以上に新しい作品でびっくりしたし、ルオーの絵はほんの1、2枚しか見た事がないけどまじめに神を見てしまった人、というイメージで勝手に円空と近い人なのではないか、と思っていた。神を見た人と仏が見える人の違いはあるにしても。
パナソニックミュージアムは、勝手にモノレールの駅に近いところだと思っていたが、実は汐留で新橋から近いというのを初めて知った。歩く時に招待券の裏の地図が微妙に分かりにくい。それでも大きくてきれいなビルディングがあって、一番上にpanasonicと書いてあるから分かった。
入り口にはかなり警備員のような人がいて、なんとなく緊張感があって、それでも中に入ったら平日なのに人が観客はたくさんいた。モローの生徒がルオーであって、他にはマチスもいて、私は恥ずかしながら知らないけれど、有名そうな画家がいるのだから、モローというのは優れた教師なのだろう、と改めて思った。
2人の絵が並んでいるが、それとは別にルオーは学生の頃から優秀な人らしく集合写真でも真ん中の前にいる。マチスは後ろの方で自信なさげに立っている。
モローの絵は、やけに新しく見える絵もある。抽象画に近いとしか思えない作品もある。それに馬がらみで、悪魔とか、やけにかっこいいような絵もある。センスがいいというか、粋な人なんだな、というのが分かったような気がして、なんだかよくて、だから優れた画家が何人もそこから出たんだな、と思いながらも一番優秀な生徒がルオーというのが意外でもあった。
モローの絵は、ある地点に向けてずっと描き続けているように見えた。色彩が、自分のイメージ通りに世界を作れるように、と努力しているけど、その色彩の組み合わせとか、線とか、最初から優れているようにも見える。
ルオーは最初はモローの絵のようにも見えるような生真面目な絵を描いているように見えていたし、モローとの手紙でもすごく真面目というか、自分の絵の都合ばかりを書いているように思えたが、それでもう少しリラックスしたほうが、みたいな事をモローに書かれたりもしている。
ただ、40歳くらいから、急になのか少しずつなのかは分からないが、今のルオーのイメージの作風になってくる。第一次世界大戦があったりしたせいなのか、抽象画という「世界の見え方は人間が決める」というような方向へ進んでいる中で、ルオーは神の世界を見えているような絵を描いている。その前に、キリストの顔を描いている絵が、すごく印象深いし、それからあとのピエロが目をつぶっている顔の絵が、すごくいい。
そんな印象だったが、神を見た人というイメージに加えて、実はすごく真面目で、そこを突き進んで初めて届いた場所かもしれない、という印象も加わった。
(2013年の記録です。多少の加筆・修正をしています)。