アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「川端龍子VS.高橋龍太郎コレクション」会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃。2021.9.4~11.7。大田区立龍子記念館。

川端龍子VS.高橋龍太郎コレクション」会田誠鴻池朋子天明屋尚山口晃。2021.9.4~11.7。大田区立龍子記念館。

2021年10月28日。

 地元・東京都大田区大田区立龍子記念館」という施設があるのは知っていた。

大田区に20年以上住んでいるのに、一度も行ったことがなかったのは、川端龍子という画家を、以前は、ほとんど知らなかったせいだ。その名前の読み方(りゅうし)も、この画家が、男性ということさえ分かっていなかった。

 

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 高橋龍太郎コレクションというのは、医師でもあるコレクターの高橋龍太郎氏の収集した2000点以上に及ぶコレクションで、自分も欲しくなるような作品ばかりで、「高橋コレクション」の関わる展覧会は、いくつも行った。

 

 それが、その高橋氏が、大田区にもゆかりがあるということで、そのコレクションと、川端龍子の作品がコラボレーションする企画が「区立龍子記念館」で行われる、というのは、個人的には、ちょっと夢みたいな気持ちだった。

 

 会田誠鴻池朋子天明屋尚山口晃の作品が見られるのは、自分にとっては、スターたちだから、ありがたい企画だったけれど、感染者が増大している時で、行けるかどうか分からなかった。10月になって感染者数が減ってきて、行けそうになった頃には、会期終了が迫ってきていた。
 

 平日の昼前に行こうと思ったのは、今のような感染が減少している状況であっても、できたら感染のリスクが少ない時に行こうとしたからだった。

 

「区立龍子記念館」の入り口には、消毒のポンプがテーブルにある。
 さらに、健康に関するチェックシートがあり、それに消毒をしてくれている鉛筆で、印をつける。
 それを持って、小さな窓の受付に渡し、入場料金を払う。

 一般で、500円。ありがたい。

 65歳以上と、未就学児は無料。素晴らしい。

 

 最初に川端龍子の作品。「香炉峰
 透明になった零戦が、大きく描かれている。
 とても目をひく、魅力的な、それで、新しさも感じる作品だった。
 単純に戦意高揚だけに思えないのは、今の視点から見るせいだろうか。

 

 次に会田誠の作品。「紐育空爆之図」。
 ニューヨークを零戦が爆撃をしている作品。
 絵を支えているのは、黄色いビールケース。意図的に安っぽさのようなものを出しているのだと思う。
 久しぶりに見て、これを、1990年代後半に描いたのは、今でもすごいような気がする。

 

 それから、鴻池朋子。「ラ・プリマヴェーラ」。
 色が鮮やかな植物と、思春期が描かれた絵画。

さらに映像作品も展示している。
 動画を、何人もがじっと見ている。

 

 それと対応するのが、川端龍子の「草の実」。これは、会田誠が評価しているという作品。売店で、扇子になっていた絵画。黒いバックに、植物が描いている。大きな屏風絵。顔料にプラチナなども使っているらしいが、渋い上に、シャープな印象があり、思った以上に、古くない絵画だった。

 さらに、会田が評価している「爆弾散華」は、自宅が爆破された後、終戦の年に描かれていて、ほぼ草花だけを描いているのに、何か、幅のある絵画だったし、ジャーナリスティックな作品でもあったと思った。

 

 山口晃天明屋尚。それぞれの作品に呼応するような川端龍子の絵画や仏像を、並べている。

 そんなに広くなかったのだけど、ゆっくり見られたし、初めてきちんと見た川端龍子の作品は、とても新鮮で、よかった。

 

 1時間弱で、見終わった。

 川端龍子の作品のクリアファイルを買って、館を出た。

 

 

(2021年の時の記録です)。

 

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