2016年8月11日。
きれいなビル。エスカレーターをのぼっていくと、きれいなショップが並び、お金がかかりそうな感じだけが強くなり、だけど、7階には「セカオワ」が使っているのと同じだというソファーもあって、いつも誰かが座っていて、そこからさらにあがると8階で、そこにギャラリーがある。安藤正子の作品もここで見た。奈良美智の版画もここで見た。今日は奈良美智のTシャツを着ているのが、誰も気がつかないに違いないけど、小山登美夫ギャラリーに行くのは、ちょっと恥ずかしいと思うけど、そう思うこと自体が自意識過剰みたいで、恥ずかしい。
まったく知らない作家。映像のアーティストなのだろうな、というのは分ったが、それ以外はほぼ分らない。
わざと出来損ないにしたような映像。デジタルだけど、アナログな感覚。妙な人物。何をしてるかは分らない。さるかに合戦の一場面だけを切り取って、大きくなったり小さくなったりの画面。昔のテレビゲームみたいな感じ。だけど、若い作家のノスタルジーに、すでについていけないような気がするというか、デジタルのノスタルジーということは、カオスラウンジと似ているような気もしていて、そんな印象もあった。
奥の部屋にカーテンをめくって進む。
少し薄暗くなっている部屋。大きめの画面。次々と変わっていく、というよりは、流れがあって、抽象的な色と形が流れていって、意味はないはずなのに、気持ちがよくて、見ていられる。早すぎないリズムがあって、飽きないのだけど、よくこういう微妙な感じを続けられるな、とも思ったりもして、ある意味で、安っぽい感じなのに、安くはない、という印象。
チラシの小山登美夫の言葉。
「今回、涌井智仁の映像の作品を、Chim↑Pomの協力のもと展示します。高円寺の洞窟のような場所で体験した過去に見たような、でも未来に起きるかもしれないざらざらとした感覚。画面に繰り広げられるイメージは限りなく思考を刺激します。若手アーティストの真摯な表現への新たな試みを是非、お楽しみください」。
8月31日に作家本人もまじえて、シンポジウムをやるらしい。
見たくなった。
(2016年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。