アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

特別展「深川の人形作家 石塚公昭の世界」。2016.4.23~5.8。江東区深川江戸資料館。

特別展「深川の人形作家 石塚公昭の世界」。2016.4.23~5.8。
江東区深川江戸資料館。

 

2016年5月8日。

 無人島プロダクションから、現代美術館に向かう途中に深川江戸資料館があるのは、知っていたが、入ったことはなかった。入り口に、見慣れた写真が大きくあった。江戸川乱歩を人形として製作し、その像が入った世界を作りだす人の写真は、うちにある。近所のギャラリーで写真の作品を見て、ご本人とも話をして、すごい人だと思っていた。偶然だけど、少し迷って、入った。この資料館の目玉であるのだろう、江戸時代の再現のところは、凄く早足で通り過ぎ、その奥にある、この展示に行く。

 

 写真は見た。

 その時に、似ている、というのではなく、その人自身の何かが人形に乗り移ってもらっている感じがしたのだけど、人形を見たのは初めてで、そして、その印象は写真と変わりなく、というか実物がすごいから、と分った。

 

 目がすごい。

 人形は、目が表情なく作るのかもしれないが、三島由紀夫はこんな目だったろうな、こんな人だっただろうな、谷崎潤一郎の不敵さと、夏目漱石の神経質さが並ぶと、ああ、こういう違いがあるのだろうな、とか、会ったことも見たこともないのに、こういう人だったのではないか、と思えて、その中で松尾芭蕉がやたらとガテン系のようなたたずまいだったけれど、考えたら、長旅を無事に行くのだから丈夫に決まっている、と納得したりもした。以前、西洋美術館でアンソニー・ヴァン・ダイクという画家の絵を見て、その目で、その人柄まで現していて、それも、相手の要望に応えて、人格の調整まで出来る人なのではないか、などと思ったのを、思い出した。

 

 ここにも、すごい人がいると、改めて思った。
 
 

(2016年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

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