アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「TARO賞20年 20人の鬼子たち」。2017.3.12~6.18。岡本太郎記念館。

「TARO賞20年 20人の鬼子たち」。2017.3.12~6.18。岡本太郎記念館

2017年6月12日

 20年の太郎賞の振り返りを、あの記念館だから、岡本太郎が住んでいた場所で、確かそれほどは広くなかったはずだけど、みたいなことを思ったが、豪華なメンバーであることは間違いなく、そこへ向って、ここではないのかな、というくらいの場所で、記念館があった。

 売店にあるティッシュとか、メガネふきとか、ちょっと欲しいものが並んでいて、Tシャツも欲しかったけど、銀のきらきらの文字やイラストだったので、あきらめた。

 

 展示は、一点ずつ、バリエーションが広い作品が並んでいる。持ち帰ったのは、プロ野球のことをひたすら描いている「ながさわたかひろ」で、ヤクルトのイメージが強かったが、実は東北楽天から始まり、ヤクルトに行き、今はロッテだということも初めて知ったが、ロッテファンだった同期を思い出し、送ろうと思った。

 

 光る小さな石庭は、天明屋尚で、目をひいたり、大岩オスカールの絵がラブリーだったりもしたが、何しろ「空で消していく」キュンチョメがすごくよかったと思うのは、自分が思った以上に理屈っぽいところもあるのだろうか、と思ったりもしたが、嫌いなものは何ですか?消したいものは何ですか?という質問に答えてくれた人に、鏡を使って空を映して、その消したいものの前を移動させ、それをiPhoneのパノラマ写真?を使って、結果として青空で嫌いなものを消していく、というものだった。
 
 その話をしてくれる人の声も、ヘッドフォンで聞けるが、それがなくても画面に文字が出るというシステム。私が見始めた時は、離婚歴を消したい、ホスト通っていた過去も消したい、という人が話をしていて、それは納得がいくというか、ああそうかもしれない、と思うが、次の人が、つりが趣味で魚のにおいが嫌い、という人が出て来て、声にある種の潔癖さもあるけれど、本当に不思議なことでもあるのだろうけど、でも、その話の中で、父親との関係のことに話題がおよび、すごくきちょうめんな人で、魚の食べ方がきれいじゃないと、はしで手をつねられた、そのにおいが嫌だったのかも、トラウマなのかも、という言い方をしていて、よくここまで話をしてくれたのと、こういう人をちゃんと探して来て、話をしてもらう凄さを感じたら、そのあとも、貴重な言葉を聞くことが出来た。
 
 ピンサロを嫌いになった理由が、ある意味必死だった時に、うしろから肩をたたかれて、「くんに、ふぁいと」と言われたというエピソードを教えてくれたり、アトピーにずっと苦しめられて来て(こういう単純化は失礼かもしれないが)それが嫌だった、自分の体が嫌だし、そこで勝負しないようにしてきた、といった話をしてくれた上で、それでも、アトピーに支えられている、という言い方にまで及び、だから、もしも綺麗に治ります、なくなります、と言われたら、どうしようか、と思うと思う、といった話にまでいった。ここまで話を聞けたすごさと、話をしてくれるすごさ。そのあとも、体育会系で頭がいい奴は嫌い、でも、それは自分のコンプレックスだと思う、という正直さを持った人が話をしてくれたり、さらに、よくここまで話を聞けたと感心をしながら時間が過ぎた。
 
 キュンチョメってすごい、自分の好みの問題なのか、とも思ったりもしたが、おもしろかった。インタビューの面白さをきちんと表現しているのだとも思った。
 
 太陽の塔の「ふちこさん」バージョンを買ったら、実際にバルコニーにいるものとは、妻は少し違うとも言っていたが、気に入ったみたいだった。楽しい時間だった。