アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

映画「高地戦」。2013.2.16~2.22。キネカ大森。

映画「高地戦」。2013.2.16~2.22。キネカ大森。

 

2013年2月18日。

 キネカ大森で、ここのところ見たい映画が続いていて、それでも何本も見れないままだったけど、今日はボランティアの帰りに、家に電話をして、大丈夫と言われたので、見に行くことにした。午後の時には、京浜東北線で人身事故があり、帰りは東横線で事故があって、時間の乱れもあるけれど、予定よりも早く着いた。
 
 映画館に入って、ベルを鳴らすと、さーっと走って係の女性が来てくれて、名画座の最後なので800円。と言われて、ちょっとうれしかった。それでも、もう予告編もなくて、始まった。
 
 すぐに最前線に送り込まれた主人公が戦争を戦っていくのだけど、すごく若い戦士が上官だったり、以前の戦闘で悲惨なことがあったり、その高地をめぐって、奪って奪われての繰り返しの中で、人がどんどん死んでいって、50万人も死んで、それが、ただ繰り返される。
 

 その時間の中で、その戦場のあな(?)の中で酒をおいているから、替わりに手紙を出してくれ、と頼まれて、それを実行したり、そうやって時間が過ぎて、相手の「2秒」と呼ばれる狙撃手(人が撃たれてから2秒後に銃声が聞こえるので、つまり600メートルくらい離れているということなのだけど、すごいネーミングだと思う)が女性だったり、そんな中で、1人死に、2人死に、どんどん死んでいって、やっと停戦が成立して、ばんざーいになって、見ている方もホッとしつつ、あれ?ライムスター宇田丸さんのラジオの映画評で聞いた演説がない、と思っていると、停戦条約が成立したのが午前10時。でも、実効されるのが午後10時。だから、その12時間で総力戦をする、というとんでもない話で、残酷とか不条理とかでないような闘いを始め、そこまでせっかく生き残って来たのに、ほとんど、1人をのぞいてみんな死んでいく。ものすごい話だった。トイレに行ったら、知らないうちに目が赤かった。

 

 家に帰って、チラシを見たら、サブタイトルみたいなところに「朝鮮戦争、最後の日。歴史から消された過酷な12時間の戦い」とあった。宇田丸さんが言っていた、チラシとかポスターとかなるべく見ないようにして、行った方がいい、というのはこのことで、自分はラッキーにも、これに気づかずに見ることが出来た。

 

 本当に、人が道具としか思われない戦争で、今の日本が変に勇ましいことを言っている人は、絶対に前線に行かないのに、みたいな事を思った。こんなに命を安くというか、理不尽な発想を出来る人間が、どこの国にも、一定数いるのかもしれない、などと思っていたら、気持ちが暗くなった。

 

 

amzn.to

 

 

「キネカ大森」

https://ttcg.jp/cineka_omori/