2014年12月21日。
去年、この監督の存在を知った。もう40年前に一部で熱狂的な支持を受けた映画を作った人だということも去年知った。少しでも映画に詳しかったら、その当時に近い時に見ている確率も高かったのに、知らないままだった。
去年見て、こんな映画を作れる人がいるんだ、という驚きがあって、その筋を追えない映像の連続は、だけど、印象としては不思議に統一感があるから、それは小島信夫の小説に近いのかもしれない、などと思った。
「リアリティのダンス」。
本人が出て来て、あれこれ語って、そして、自身の少年時代を題材としている、というだけど、夢だったり、悪夢だったり、さっきまでの話はなんだっけ?と思い出しにくいような話が続いていく。
だけど、独特としかいいようのない、魅力のある映像が続くし、生々しいし、迫力があるし、で2時間以上の時間が、あまり長く感じなかった。やっぱり凄いのだろうと思うけど、説明はしがたい。ただ、見終ったあとに、生きているって何だろう、というような事は自然と感じたり考えたりはしているのは、死の扱い方があっさりしているけど軽くない、つまりは日常的にさえ見える、ということも関係しているかもしれず、そういう意味では苦労人でもあるのではないか、などと思ったりもする。
ただ、改めて、どうしてこういう映画が撮れるんだろう、とは思う。チラシには残酷で美しい人間賛歌という表現をしていて、確かにそうはいえるだろうけど、そうしてまとめた部分から生々しさがこぼれでているようにも思った。この映画で、ずっと出続けていたのは、自身の少年の父役が、自分の息子という構造で、そして、自分の母親の役が胸がやたらと大きくて、ずっと強調するような格好で嫌でも目にいき、その上、セリフが全部歌、という作りをしていて、違和感を感じなくなってくるというのが、なんだか後から考えると、よけいに凄い気がする。
ペストにかかって死にそうな夫に、またがって、自分でおしっこをかけて治してしまう、というのも、本当に可能そうな人に見えるが、そこから、またどんな筋だったか、どんなエピソードだったかは、時々場面として思い出すが、その順番はおそらくは分からない。そんな風に書くと、やっぱり凄い映画だったのかもしれない、と改めて思う。
「リアリティのダンス」Blu-ray BOX。