
2024年8月21日。
この写真歴史博物館の中で展示される写真は、何度か来ただけだが、いつも物質としての強さを感じる。
光と闇がクッキリとしていて、画面もかなり強い。
今回も、写真家の家族を撮った作品で、距離の近さも感じるし、写真はいつも鑑賞者が見る時は、今にしか感じない。
だけど、この展示は、かなり複雑な背景があることを、この展覧会のチラシなどで始めて知った。
1960年代後半から70年代半ば、彼が当時の妻ジェシカと第一子コーエンを撮影した写真の数々は、普遍的な愛や安らぎにとどまらない、撮る側と撮られる側、双方の無邪気な遊び心に満ちあふれています。その一連の作品は、編集者山岸章二によって見いだされ、1973年から1974年、『カメラ毎日』誌上で「First Born」シリーズとして発表されます。同誌には、シリーズの前身と言える妊娠中のジェシカの写真、家族の後日の姿を収めた写真も掲載されました。しかし、その後それらの作品が発表されることは長らくありませんでした。
再び日の目を見るのは2012年、有田がアメリカで亡くなった翌年のことです。若き日に「First Born」シリーズに憧れて有田の門を叩き師事した写真家上田義彦が、生前に有田が構想したノートをもとに、2か月近い格闘の末、印画紙に定着させました。30年の時を経た師弟の邂逅は、『カメラ毎日』誌上で発表された「幻の傑作」から新たにセレクトし75点を収めた写真集『First Born』と、同名の展覧会として結実します。(『フジフイルム スクエア 』サイトより)
30年の時間をまたいだ展示だと知っても、見る時は、目の前に、そこに写真家の妻がいて、子供がいる。そのことは変わらない。それが写真というものだろうけれど、なんだか不思議だった。
(「First Born」 有田泰而)