2024年11月9日。
1990年代の後半。すでにどこのギャラリーかは忘れてしまったが、開発好明は、全裸でのパフォーマンスを映像で展示している作品を見たことがあって、それは、孤独な戦いのように見えた。
それから数年経って、岡本太郎現代芸術賞を受賞したときは、やや驚きもあったものの、その作品は発泡スチロールを使った「茶室」で、以前のイメージとは全く違うものだった。
その後は、幅広い作品を制作し続けてきたし、人と関わったり、コミュニケーションをテーマとする作品も多かったように思う。
今回の個展も、入場すると小さなバッグを渡される。
中には、「ミッション」がある小さな名刺大のカード。
そこには「いつもより早歩きする」と書かれていたので、その通りにしてみたが、作品が展示されている部屋に入って、その身近なものや、体を張ったりするプロジェクトという作品が並んでいる。
1990年代からだから、もう30年にわたって、個人が考えついて、個人ができることは、大抵のことを試みているような印象になってくる。
東日本大震災で、原発事故があったせいで、地震の後も、避難地域ができてしまったが、その約1年後に、その避難地域ギリギリの場所に「政治家の家」という仮設住宅のような建物を建てて、そこに来てもらうように政治家に向けて招待状を送るというプロジェクトは、覚えている。
1日に一人、「先生」にきてもらった、幅広い「授業」をする「100人先生」は、別の機会に、一度、行ったことがある。
バッグの中には、発泡スチロールがあり、それは、会場の指定された場所に投げ込むことによって、それが積み重なり、誰もが予測できない形になっていくというもので、それには参加した。
さらには10年後の手紙が届くというプロジェクトにも、参加した。
本当にさまざまなことを続けてきた現代美術作家なのだと思った。
『開発好明 ART IS LIVE』
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