
2025年9月27日。
見るたびに、身近なものを使いながらも、細やかで繊細で、でも緻密な作品という印象だった。
今回は、個展。この二人の作品ばかりが並んでいる場所になる。
髙田安規子・政子は、一卵性双子のユニットで活動するアーティストです。身近な素材を用い、空間や時間の「スケール(尺度)」をテーマに制作。作品は、数学や物理学的アイデアを背景に繊細な手仕事や緻密な構成で生み出され、アートと科学を融合させた独自の感性により表現されます。また、展示する場所をリサーチし、その特性を生かした展示を行うことでも知られています。
(『資生堂ギャラリー』より)
いつも、微妙な緊張感がある。
今回も、華やかな銀座の通りから、階段で降りていくだけで、急に静かな場所に、本の重なりがあり、そこは、踊り場なので、さらに階段で地下へ進む。
その、本を重ねた作品は、その地下の展示室にも続いているし、鏡が壁一面に飾られているが、かなり厳密に配置されているのはわかるし、別のグループ展で見た小さなベッドから大きいベッドが並んでいるのも、規則性の厳密さのようなものを感じさせる。
展示の中心となるのは、本を積み重ねて地層に見立てた新作《Strata》。地層は、生物の生態や自然環境の情報が刻み込まれた「歴史書のようなもの」という例えから着想を得て、資生堂ギャラリーの小展示室の床から踊り場の床下までつながる本棚に、約500冊の本と、そのあいだに鉱石や化石を配置し、生物の誕生から人新世までの時と知の連なりを表します。同じく新作となる《Timepiece》は、割れた砂時計からあふれ出した砂、石、岩で構成され、時間の概念について考えさせると同時に受け継がれていく生命、あるいは生命の終焉を想起させます。また、自然界に広くみられるフラクタル形態を用いて自然の摂理における「個」と「全体」について言及した《Can’t see the forest for the leaves》 、すべての生命の源となる光をテーマにした《Spectrum》など、新作とこれまでの作品を再構成したものを中心に約20点展示します。
本展のために、髙田安規子・政子は、これまでの作品に通底する考えを整理し、リサーチを深め、新たな展開を図りました。宇宙の誕生から、生物が進化してきた時の連なり、人類の活動の軌跡や蓄積、個と全体の相補的な関係に目を向け、多様な存在とともにあるこの世界を捉え直します。そして、様々なPerspective(視点・観点・展望)から、予測される悲観的な未来を超える希望を見いだし、自然界を含めた人類全体の共存共生と持続可能性を考える機会となれば幸いです。
(『資生堂ギャラリー』より)
緊張感は、自然界にあるルールのようなものを再現しているせいかもしれず、それは同時に美しさもあるし、そして、全体としてはエネルギーを内包しているのだけど、その空間は静かだった。
そして、ハンドアウトを見ると、作品が、自然界の法則をかたちにしたり、時間による変化も取り入れていたりするのを知り、また少し作品の見え方が変わる。
多くは語らないけれど、豊かなアートだと思った。
https://www.akikoandmasakotakada.com/
(『髙田安規子・政子ウェブサイト』)