アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

原口典之 個展「Circulation」。2025.8.30~10.11。SNOW Contemporary

2025年10月11日。

 その展覧会については、情報だけは知っていた。

 

http://snowcontemporary.com/exhibition/current.html

(「SNOW Contemporary」サイト)

日本における1970年代以降の現代美術のムーヴメントにおいて、代表的アーティストとして活躍していた原口ですが、没年の2020年に胃癌の余命宣告を受けます。

余命宣告を受けた原口は、作品発表の予定を目指すわけでもなく、限りのある生において、ほぼ毎日のようにミニマルな平面作品を手掛け、没するまでの3か月ほどの日々の中で、総数100点以上にものぼる作品を遺しました。

作品制作中の原口は、コンポジションを検討し、シンプルな形態が平面上に実現され、作品が完成する都度、岩手県北上市にある彼のスタジオ兼自宅の中庭において、原口とそのパートナーのためだけの「個展」が、毎日のように開かれたといいます。

           (「SNOW Contemporary」より)

 なんとも言えない話だった。そして、こうしたストーリーだけに反応するのは失礼かもと思いながらも、このとてもプレイベートな「個展」は、とても貴重でかけがえのない出来事で、それはやはり、切なさと共にあるようにも感じた。

 

本展覧会は、国際的にも知名度の高い、この稀有な美術家の最後の日々の営みを、展覧会においてできるだけ忠実に再現することを目指します。会期中は、2週間ごとに展示作品をすべて入れ替える(平面作品17点、立体作品1点を3期に分けて展示)ことによって、時間の経過ごとにまったく異なる相貌を見せる空間をつくりあげます。そこでは、原口の最晩年の仕事を通じて、終わりなき生の循環という、オープンエンドな芸術作品の可能性が展望できるでしょう。

           (「SNOW Contemporary」より)

 

 本来ならば、2週間ごとに、ギャラリーを訪れることができれば、その「個展」を少しでも追体験できるはずだから、行きたいと思いながらも、でも時間が過ぎ、もう展覧会が終わる日にやっと行くことができた。

 作品は、思ったよりも大きかった。それは、これまでの作家の作品に比べたら「小さい」のかもしれないが、晩年の「個展」のことを知ったとき、だんだん体力も衰えていく中で、それこそ手のひらサイズの作品が、並んでいると思ったせいだ。

 でも、それは失礼な思い込みだろうし、何しろ、とても静かで、確固とした存在の強さのようなものを作品には感じた。さらに、光を反射しているせいか、時々、不思議と柔らかさまで感じる。

 来て、よかった。

 

 

https://amzn.to/4hcdB3y

『原口典之 社会と物質』

 

 

⚫︎ 当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。