
2025年12月13日。
西尾康之の印象は、GEISAI#1(2002年)で、立体作品で金賞を受賞した、というところから始まっている。
その立体に、独特の気配があるのは、その製造方法にあるのは知っていたが、作り手の思いのようなものがかなりダイレクトに伝わってくるように思えていた。
例えば、ガンダムの登場人物を巨大にした立体などは、有無を言わせない存在感があった。
その西尾の新作が見られるというので、天王洲へ出かける。
https://anomalytokyo.com/exhibition/nishio_2025/
陰刻鋳造とは、指で粘土を押し込んで刻んだ痕跡を鋳造の型とするもので、従来の「肉としての像」ではなく、負の輪郭や残響としての像を鋳造によって立ち上げる手法であり、指の軌跡・流れ・時間が不可視の層として作品全体を「皮膜化」するものです。この手法は、制作過程に刻まれた身体的痕跡を通して、存在を可視化するものともいえます。
(「ANOMALY」ホームページより)
個展を開くギャラリーのサイトでは、これまでの西尾の制作も、こうして説明されていて、改めて納得する部分も多い。
会場には、これまでの西尾の作品とは違って、表面がビニールで覆われ、開店準備をする店舗のような印象で、まるで制作途中のように思える立体作品が並んでいた。
そして、この形態が、今回の「コンパクト化」という概念を具現化した、ということのようだった。
今回のテーマ「コンパクト化」は、位相幾何学の概念に由来します。位相空間がコンパクトであるとは、所定の性質を満たす解の集合の構造として、より「性質の良い」空間を意味します。あるものが成立する時、SはXを被覆し、連続体として閉じた風船状に存在する場合や、Sの元がすべて開集合である場合には開被覆として壺状の構造を成す、と西尾は説明します。こうした抽象的な概念を、作家は素材として身近な、環境問題の主役でもある「ビニール」という薄い皮膜に置き換え、具体的な造形表現としています。
(「ANOMALY」ホームページより)
この作家の説明は、正直、観客側の知識の不足もあり、理解できないのだけど、何か違うことを、新しいことを目指そうとしている姿勢は伝わってきた。
会場全体も、制作途中の雰囲気が充満していたようにも思う。