アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

和田真由子「隣人」。2016.5.28~7.2。児玉画廊。白金高輪。

和田真由子「隣人」。2016.5.28~7.2。児玉画廊。白金高輪

 

2016年6月4日。

 駅から少し歩く場所。途中で少し余裕があったら入りたくなるような店があちこちにある。ゆっくりできる時間があったら、すごく楽しいのかもしれない、帰りにグリーンカレーを食べたいかも、などと思いつつ、地図を見ながらも、なんとか現地に着く。

 

 このビルは以前も来た。ギャラリーがいくつか入っているビル。何年かに一回のペースで、移動するけど、その理由ははっきりとはわからないまま、それまで一度も行ったことがないような場所にアートが見たいというような理由だけで向かうが、ここのところはあまり見ていないのは、とにかく節約だけに頭がいっていて、そのために閉じこもるような毎日で、体だけでなく気持ちまでこもっていたかもしれないなどと思いつつもギャラリーに入ると、一見、印象が薄い作品が壁にあるのはわかった。

 

 細い木材で組み立てられた箱みたいなものがあって、そこに少し厚めの透明なビニールがかかっている。奥の部屋に行くと、それと同じ構造の作品があって、ビニールの表面には薄く何かが描かれているのがわかって、最初の作品に戻ったら、やはり何かが描かれているのがわかった。薄いから、分かりにくいけれど、こういう作品は見た事がないし、それらしい絵の感じもないから、つまりアートっぽいような筆さばきも少なく、などと勝手にこねくり回したことを思っていたら、ギャラリーの受付の場所にいた男性が、そばにいて、話を始めてくれた。

 

 この作家は、自分のイメージをなるべく正確に形にしようとしている。そのために、ビニールに鉛筆で描いている。それも、この木材を使ったものが平面で、その奥の部屋にあるビルの描きかけみたいな図が立体だ、というような言い方を作家はしていて、という話を微妙な苦笑を交えながらも真剣に話をして、そして、聞いているうちに、この作品が真剣だったり、チャレンジしているように見えて来て、それは見方が変わるということでもあったと思うが、それでも、一番印象的だったのは、この男性スタッフの真剣な話だった。

 

 

(2016年の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

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