全く無名で、しかも、78歳の男性の版画展を開く。
地元にあるギャラリーのオーナーから、その話を聞いた時は、イメージがしにくかったのだけど、作品を見たら、理屈抜きに魅力があった。
動物をモチーフにしていて、年齢で言えば、かなり高年齢になっていたはずだけど、最初は、自意識が強めの自画像のような作品だったのが、だんだん、もっと自由に柔らかくなっているのは、わかった。
『勢力的かつ自由奔放な版画制作で不思議な魅力を持つ望月計男の展覧会を開催いたします。子供のような、また意匠的とも思える大胆な構図、多作で無頓着のプレス機を通された版画達から溢れるカオス。画業25年のうち13年、動物を描き続けた集大成とも言える「“どうぶつ”たち」をどうぞお見逃しなく」。(DMより)。
かなりの観客が訪れただけではなく、「ほぼ日」でも取材され、これから、このギャラリーのオーナー・フクマカズエ氏が、見出したといえるアーティストが、この展覧会のあと、もっと広く活躍すると思われた矢先に、亡くなってしまった。
それは、フクマ氏の力も社会に、より正当に評価されるようになるとも思っていただけに、それも残念だった。
「ほぼ日」望月計男 インタビュー
https://www.1101.com/mochizuki_kazuo/index.html
このギャラリーの展覧会の時は、望月氏本人も、ギャラリーに在廊し、気さくに話もしてくれたが、当たり前だけど、まだ初対面の観客だし、どうやらシャイな方でもあったようで、それほど作品については、話をしてくれるわけでもなく、いわゆる世間話だった。
だけど、その時は、また、ここでも展覧会をやるだろうし、話すチャンスはあるだろうと、望月氏の年齢も考えずに、思っていた。それだけ、年齢を感じさせない人でもあったのだと思う。
ただの観客だけど、また違う作品を作ろうとしていたし、やっぱり残念だった。
「Hasu no hana」ホームページ