布というのは、服も含めて、いつも生活の中にあって、とても身近なものなのに、こうして、作品になると、不思議な気持ちになる。
『寺村は、シルクオーガンジーを用い、絞り染め・型染めの伝統技法を巧みに操り、幾つもの作業工程を経て一枚の布から立体的な造形を作っています。
素材が持つ薄く繊細なマテリアルは夢のような儚さ、幻想的で少し奇妙な造形・鮮やかすぎる色彩は時におぞましさも与え、寺村のテーマである“美しさとその裏側”を見事に内在化させることに成功しています。
(中略)
本展『繰り返さないリピート』では、自身の制作過程と日常との共通項を見つけ、そこから着想した「容赦ない目覚め」の発表をいたします。
“毎日を繰り返すことはどうしようもないことであり、社会全体において個人は川の中にある小石のように目立つことなく、時代やその環境という流れに抗うことはできない。そこで、同じ形状の立体をつくり、その中に小さな変化をつくる。
大きな流れの中でその小さなものを見つけることができるのか、どうしようもない繰り返しに意味はあるのか”。
その検証の為にも、というこの作品を通し、私たちも小さな気づきとその可能性が見えてくるかもしれません』(チラシより)。
『寺村サチコ』公式サイト
「Hasu no hana」サイト
『美術の物語』 エルンスト・H・ゴンブリッチ