2008年1月5日。
ランチを食べて、ゆっくりしてから目黒区美術館へ。
おそらく空いているだろうし、という余裕もあって、気持ちがゆったりしている。
美術館は、やはり、すいていた。
入り口近くに瀧健太郎という作家のビデオ作品。ハダカの女性が狭い箱の中で動いている映像。いろいろな大きさの箱の中で手や足や体を動かしているが、抜けられない。裏には腕だけが動く細い映像もある。なんてことはないのに見てしまう。
源生ハルコ、という人の鉛筆やパステルで描いた、精密なのに柔らかい印象の絵。妻が、どうやったら、こういうのが描けるんだろう?と感心して、メガネをはずして、食い入るように見ていた。あんなに近くで見ても、係員に注意されないところが、ここのいいところかもしれない。
鈴木康広。まばたきの葉。前に水戸芸術館で展示していたはずの作品。樹木のような5メートルくらいはあるプラスチック製の立体。横に細いスリットがあって、そこに片面は開いた目、もう片面は閉じた目が描いている、紙で出来た葉を入れると、上にのぼって吹き上げられて、舞い降りてくるという作品。タネは簡単だけど、その葉っぱが、ひらひらとして、ウインクしているように落ちてくる。やってみると、面白くて、思った以上に、何度も葉っぱを拾って、入れて、を繰り返した。人がそれをやっているのを見ているのも面白かった。
石川直樹の写真。岩の大きな山の壁にのめりこんでいるような家の写真。ただ、素直に凄いと、思ってしまう。
屋代敏博。横浜トリエンナーレで、とにかく回転しているものを撮影した写真を会場のあちこちに設置していた作家。今回は、目黒区内の銭湯の写真。それも会場の係員によると、男湯と女湯を別々に撮って真ん中でくっつけているということだった。それも右が女湯。左が男湯らしい。右には染毛禁止、というような文字が確かにあった。中には、撮影の後、すでに廃業している銭湯もあるそうだ。
特に印象が強かったのは、その5人の作品だった。
静かで、ゆっくり見られて、面白かった。
この人は目黒と関係ないのでは、と思うと、ある時期に目黒に住んでいた、といった、普通ならないような注釈もあった。
美術館内の喫茶店でゆっくりと、コーヒーを飲んだ。
年の始めとしても、静かで、充実した気持ちになれた。
(2008年の時の記録です。多少の修正・加筆はしています)。