2010年8月7日。
今年は、4月から今まで何ヶ月か、これまでとは違うことも始めて、気持ちが少し浮ついていたのだけど、夏頃には一段落して、アートはこの10数年変らずに見てきたのだから、なるべく見て、自分のペースを確認しないと、みたいな気持ちもあって、ワタリウムに行く。
5月からやっていて、まだいくらでも時間があると思っていたら、もうすぐ、この展覧会が終わる。
すべてが意味ありげなタイトルと、一見して、よく分からないような造形で出来ていた。そういう、分かりにくそうで、軽みもあって、でも、なんとなく本気も感じ、作品を見ていて、ああそうか、と思える瞬間があったりするのは、ちょっと気持ちがいい。
たとえば、世界中の有名な建物を描いてあるスケッチは最初は、たとえばサヴォア邸をものすごくちっちゃく描いてあって、奇をてらっているのかな、と思ったけれど、でも、スケッチブックがあって、元の建物の写真と並んでいるのを見たら、その印象を忠実に描いているのかもしれない、と思えて、そのスケッチに違う意味が加わったように見えるようになった。
「熱帯雨林のドローイング」というのは、ただいろいろな線をめちゃくちゃに描いているという印象でもあったのだが、見ていると、実際に、熱帯雨林という場所にいるというのはこういう事かもしれない、と思い始めて、少し感心し、ターナーが嵐の海で船にくくりつけてもらって描いた絵、という話を思い出した。
「都会のリス」というのは楽器を、背中に背負って、持って歩く音楽家たちの姿の写真だけど、そういう姿が、本当に「都会のリス」に見える気がした。面白かった。
最初は変な顔をしていた妻の方が最後の方は楽しんでいたから、やっぱり一見して分かりにくいのだけど、力がある人なのだろう。ワタリウム美術館の、スペースにとてもあっている気もした。
地下の本屋のところでは、青木陵子の絵が並んでいて、それは植物が多く、妻は素直に素早く反応していた。そのあとは、近所に食事屋さんが出来て、そこで食事をして帰った。久々にアートに触れて、やっぱり楽しかった。
(2010年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。