アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「北斗七星の庭 展。重盛三玲」。2011.12.4~2012.3.25。ワタリウム美術館。

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「北斗七星の庭 展。重盛三玲」。2011.12.4~2012.3.25。

ワタリウム美術館

 

2012年1月5日。

 外苑前駅に着き、いつのまにか少し行くのに慣れている気がしているワタリウムに向かっている時に、無印のお店が今月いっぱいで閉店するのを知った。あとで寄るかもなどと思ったが、まずは美術館に行く。

 

 ワタリウム美術館の2階に行ったら、北斗七星の庭、というテーマの通り、円柱状の石が北斗七星の形に並んでいた。それは、東福寺方丈庭園の「北斗七星の庭」の再現で、その2階は全部その庭園の再現らしくて、その大きい石がたっている「八相の庭」は、おそらく実物大の写真が並んでいた。あとは市松模様が石と植物を使って再現されている「小市松の庭」の植物がやや量が乏しい感じがして、そして、そこに重盛が描いたり、デザインしたものがあったりもしたが、かなりの手間がかかっているとは伝わってくる。

 

 そこから3階に上がったら、茶道関係の展示になっていて、重盛に影響を与えたというような庭とか場所のVTRがけっこう面白くて、こんな石がバラバラといっぱいあるような、とても実在すると思えないような庭もあったりして、こういう庭があったこと自体が、なんだかすごいような気もしていて、それから、4階に上がったら、座って、それもクッションが石みたいになっていて、庭を大きいスクリーンで見せるという趣向である程度は成功していると思えたが、だけど、20分くらいと長いし、庭を見せて行く、という映像は、途中でちょっと退屈をしてしまったりもしながら、見終わった。それは庭自体への興味が、それほどないのかもしれない。

 

 それから、地下のショップへ行って、沖縄の石垣島のペンギン食堂の料理が出ていて、そこで、沖縄ソバを食べて、時間になったから、そこで帰った。

 

 展覧会は面白かったし、庭を見せるって大変だな、とか、気になったのは、庭にとりつかれたような依頼する人がいて、中には、重盛が一番気に入っていると思われた人は、金持ちらしいが、すごくお金も使って、手間ひまも使って、どうしてそこまでやるんだろう、とか、そういう人にとっては、庭というのは自分であるから、かも、などと思って、ここでも自己愛が関係してくるのだろう、などとも思った。

 

 そして、もう一方では、生意気だけど、どうすれば、この「庭」をテーマにした展覧会がもっとすごいものになるかと勝手に考えた。庭のすごさみたいなものをもっと抽象化して、その空間に再現させるような、たとえば、日本の昔からの庭は、砂利を敷き詰めて、石を置いて、水を流す、というような人工的なものなのだから、たとえば、借景も、たとえば、今だったら、ワタリウムの外に流れるクルマの列を借景として、窓ガラスから板を渡して、空中で小さい庭園をつくるとか、2階から4階までの空間を使った室内庭園を作ったり、大きな石を一つでも持って来れれば、とも思ったが、本人が亡くなっているから、難しいとも思い、考えたら、この企画自体がよく成立させたし、ここまで考えさせるのがすごいのかと改めて思い、トーク「庭をめぐる話」の中で、藤森照信が「古今東西の庭と私の庭を紹介する中で、かつて庭はこの世とは別の世界であったこと、そして今は建築と自然の対立を調停する存在であったことを述べる」とあるから、分かりにくい存在でもあるし、取りつかれるように興味を持ったら大変なことになるのは、少し分かったようにも思えた。

 

 

(2012年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

www.watarium.co.jp