アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「MOTアニュアル2012 「風が吹けば桶屋が儲かる」。2012.10.27~2013.2.3.東京都現代美術館。

f:id:artaudience:20210125111406j:plain

「MOTアニュアル2012 「風が吹けば桶屋が儲かる」。2012.10.27~2013.2.3.東京都現代美術館

 

2013年1月31日。

 アニュアルシリーズは、ずっと見ている。だから、今回も見なくちゃという気持ちになっていて、だけど、その前の評判が悪い。田中功起は、ビデオ作品が何げなくて、それでいて、少し驚いて、けっこう好きなのだが、今回は作品そのものはなく、この期間にどこで何をしているかというスケジュールだけが渡される、というのを知り、やっぱり見に行く気持ちがものすごく減っていた。

 

 だけど、体調も何とか回復し、アートと音楽を見たあと、妻は常設展に、私は、アニュアル展を見た。最初の展示室には、いろいろと指示が書いてある紙が並んでいて、それは一枚一枚見れば、3番のロッカーに書いてある婚姻届がある、とか、面白そうだったりするのだけど、その数が多過ぎて、その指示に全部従うというか、見て回る気力がなくなってくる。というより、そんなに興味を持たれる、という前提に自己愛の大きさみたいなものを感じて、微妙に気持ちがひく。

 

 それから、あとも作業中の作品みたいなものが多く、アイデアだけ、でやっているものが多く、メモを書いて、壁に貼ってあって、という作品が多く、かなり見ていて、うーんとなった。これが今のアートのトレンドなのかもしれないが、もう少し考え抜いた方がいいのではないかなどと、生意気なことを思う。

 こうした作業の途中を見せることによって、共感などを得られると思っているのかもしれない、などとも思うと、やっぱり微妙に気持ちがひく。かなり短い時間で見て回ったが、地下3階の田村友一郎の古い民家を再現したようなセットのような建物の中に靴をぬいで、口に紙をくわえ、ラジオで、この土地の成り立ちやコンクリートの材料は海の底の石灰岩だったり、だから、それは元は死骸です、みたいな声が聞こえてくる作品は面白かったし、もう少し聞いていたかったけど、妻との待ち合わせもあるし、5分くらいで見るのをやめた。

 

 妻はまだ常設展にいるようで、私はチケットをなくしたみたいだから、学生証で入って、中で妻と会った。ここのところの常設展は、いろいろな工夫があり、特に最近の作品は面白いとも思う。

 アニュアル展は、10年くらい見ているけど、初めてカタログを買わなかった。ゆるさが、内輪うけとかになっていたり、でも、自己愛の肥大を形にしている、という作品の意味があるとすれば、自分が理解できないだけで、実は、かなり意味があるのかもしれない、などとも思った。

 

 

 

(2013年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

東京都現代美術館

https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/20190723161412/

 

Week End / End Game / 田村友一郎utrecht.jp