アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「感覚の解放」。1999.9.~11.21。東京オペラシティアートギャラリー。

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「感覚の解放」。1999.9.~11.21。東京オペラシティアートギャラリー

1999年10月。

 初台のオペラシティに、アートギャラリーも新しくできて、その開館記念としての展覧会だった。

 

 ただ、感覚は解放されなかった。

オペラシティビルは、まだ出来たばかりなのに、にぎわった感じがしない。オペラシティーギャラリーも新しく出来たばかりなのに、落ち着いている。

 なんでだろう。

 

 CDが敷き詰めてあって、その上を歩いても、音楽は聞こえてこない。鉄と塩の村岡三郎も竹橋で見た時の方が、はるかに生々しかった。にぎると硬いものがあるという半透明な風船も、それを分っていてさわると、こんなもんか、と勝手な感想しか出てこない。

 

 感覚を刺激するような様々なものが、今は確かにある。そうした「商品」があふれている中で、それでも「作品」として意味があるものを作るのは、とても難しいのでは、と思う。

 

 それでも、少し経ってから思うのは、自分自身の気持ちに全く余裕がなかっために「感覚の解放」ができなかったのではないか。作品や展覧会だけでなく、当然だけど、観客として受け入れるような体勢がなかったのもしれない、と思うようになった。

 

 オペラシティがにぎわっていないように見えたのも、ギャラリーが落ち着いて感じたのも、自分の問題なのかもしれない。

 

(1999年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

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