アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「キャラクラッシュ!」。2014.10.11~11.2。東京都文京区湯島3−28―10。

2014年11月1日。

 いつの間にか、復活したようになっているカオスラウンジ。2010年の春に日比谷で見て、おお、と思って、それから2年ほどたつ頃には、何かしらの問題があったらしく消えかかったように見えていた。

 

 それでも、2013年に春に梅沢和木の展覧会を初めていったギャラリーで見て、よかった。さらには、その年の冬には渋谷のおしゃれなブランドのギャラリーで個展をして、そのラフな絵にも才能を感じ、暮れにはゲンロンカフェで東浩紀との対談で黒瀬陽平は調子が悪かったが、その時の福島の原発をテーマにした展覧会の作品はよかったし、さらに、対談の中で、どう見ても調子が悪いように見えた黒瀬に対しても、梅沢和木藤城嘘の二人が、ホントに澄んだ目といっていいようなまなざしで、この時は、どう見ても、パッとしなかった黒瀬を、この人が言葉や理論という力を与えてくれた、と完全に近い信頼感を見せてくれて、それもあって、すごいと思っていたが、今回、個展をやると知ったのは東浩紀ツイッターだった。

 

 開催期間が短く、そして、湯島のカオスラウンジのアトリエである古い民家という事だったが、評判がいいらしく、そして、一度はつぶれそうに見えたカオスラウンジがまた復活していくとしたら、重要な展覧会になりそうだし、何より、梅沢の作品が見られるのならまた行きたいと、あまり乗り気でないが、妻を誘って行くことにした。ただ、もしもこの日、世田谷の文学館のイベントに当選していたら、1人で行ったかもしれなかった。

 

 雨が降っていた。湯島の駅までは順調だったが、駅を出てから、微妙に少し迷った。どの道か少し分からなかったが、歩いていると、見つかった。

 中は湿った感じだったが、築80年と聞いていたよりは大丈夫そうで、自分の住んでいるうちもまだ平気かも、などとも思え、そして、思いが先走ったような気配はあるものの、乾いた大竹伸郎、というような雰囲気もやっぱりあるし、今の時代の屈折みたいなものも感じ、そして梅沢の作品は安定感も感じさせ、他にも家を一軒あちことを使っていて、こういう展覧会が出来たら気持ちいいかも、などとも思った。

 

 2階の一部屋使って、小さい石みたいなものを敷き詰めて、サンダルで見るような空間、VHSのテープとか、ノートブックのパソコンとか、記憶媒体とか、犬のほえるぬいぐるみがあったりとか、そして薄暗かったりとかを進むと、部屋のすみには大きめの穴があいていて、下が見える。おそらくは風呂場に何か岩のようなものがある。「にがびゃくどう」庭園。梅田裕。の作品だとあとで知る。この作品がよかった。

 

 雨が降っている。作品集を買おうかどうか迷って、買わなかった。観客は何人も訪れてくる。

 そこから、湯島駅に戻り、大喜というラーメン屋でラーメンを食べた。

 微妙に沈んだ気持ちになれる展覧会で、そういうのが、たぶん、よかったんだと思う。

 

 

 

(2014年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)

 

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