アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

エクササイズ:多様なプラクティス。2018.8.24~8.26。Gallery NIW(ギャラリー ニウ)。

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エクササイズ:多様なプラクティス。2018.8.24~8.26。
Gallery NIW(ギャラリー ニウ)。

2018年8月25日。

 ツイッターか何かで見つけて、たった3日間の会期、そして、以前の展覧会で気になった人がいたので、見にいくことを迷っていたのだけど、妻と相談したら、出かけられそうだということになり、さらにはこの短い期間にも関わらずトークショーもやるというのである意味では本気なんだ、と思ったりもして、行ったことがないギャラリーに出かけることにした。

 

 最寄りの駅に地図があり、そこに目的のギャラリーが載っていたのが意外だった。そんなに大きい場所でもないようだけど、でも、そのおかげで不安が少なく歩けた。

 

 やや重いドア。昔だったら、そこで帰ってしまっていたのかもしれないけれど、入って、作品が並んでいるのを見た。人がいて、それはおそらくは作家本人の方々だったり、その知り合いだったりするのだろうと思うのだけど、こうした小規模な展覧会は、考えたら、そんなに知らないはずだけど、個人的に気になった作家の方のツイッターを見て、迷ってやってきて、こんなに常連感があふれていると、気持ちがひけるが、そこで帰ってしまったら、何も得ることは出来ないし、などと思って、気持ちの中で大げさだけど、ちょっとだけ一踏ん張りできるようにはなった。

 

 入り口付近は人が何人かいたので、奥へ行く。

 齋藤はぢめ。「明暗展」での“あをば荘”での元カップルの展示が、頭がよくて、その上で感情を揺さぶるような作品だったので、さらには、作家本人の語りも頭がよくて、その上で作品には一歩踏み込むところがあって、感心もした。

 

 今回は、チラシ配りをしている姿が映像として映っている。街中によくいる(トークで知ったが、コンタクトレンズの方のコスプレだった)チラシ配りの格好をして、チラシの中に入った言葉が、「社会の底辺にいると思いますか?」「命より大事なものはありますか?」といったような言葉で、それは宗教?と思うようなものでもあったが、それを配っていて、質問形式になっているから、独りくらいは反応しそうなものだけど、そんなことはなかったらしい。この内容は、人によっては、恋愛とか人生とか、色をピンクとか青とかに変えたり、あとは自分の質問は50くらいで出なくなったので、あとはポエムにしたり、といったことだったという。そのコスプレをして池袋の駅前で配っていて、といったことで、社会との関わり方の距離感が面白かったし、こういうやりかたが出来る頭の良さを感じたのだけど、それだけでなく、コンビ二でバイトをしている時に、ファミマの制服で他のコンビ二に行くと、ピリっとするらしいが、今回はティッシュを配ると、しかられそうだったり、恐かったりしたのだけど、今回は、ある意味では気を使われた、といった話も聞いて、興味深かったし、ティッシュの言葉も、死については書きたくなかったし、相手を傷つけないように、色を変えた、みたいな話を聞いて、その細かい気の使い方にも、なんだか好感も持てるし、それが作品の質を下げることにもならなさそうだし、という感じがした。

 

 今日、この展覧会に来て、トークショーも翌日にも開催されるのに、今日に来た理由は齋藤はぢめの次の作品を見たいというだけでなく、「男を殺すにゃ仕事を奪えばよい」という宇野澤宣行という作家が、その言葉に強いリアリティをもち、作品を作っている、ということを、初めてだけど、知ったこともあった。最初は、スマホを持っていないと、作品を見ることが出来なかった。この場所だけつなぐことができるサイト、ということも含めて、作品と関係がある作りだった。新聞記事のコピーがはってあって、それは、何年か前に、生活が苦しくなり、県営住宅を追い出されることになり、その日に、中学生の娘を殺してしまった、という事件をテーマにして、そのことを、社会主義の国の方々に、どう思うか、みたいなことを聞いて、その音声がスマホで聞けるものと知ったのは、トークショーの時に、ケイタイがない、という事を言ったら、貸してくれたからで、話を聞いていて、つい自分の介護のこと、もしかしたら、この事件の母親も日常から押し出されていて、判断が出来なくなっていたのでは、と将来的に介護離職のことも扱ってほしい、と伝えた。

 

 この展覧会は、次は12月、その次は来年の2月と、変化すること前提で展示を続けるらしい。こういう意欲的な試みが出来るようになったのは、自分は使っていないけど、SNSのおかげなのかもしれない、とも思った。

 

 

(2018年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

www.tokyoartbeat.com

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