アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

恋せよ乙女!パープルーム大学と梅津庸一の構想画展。2017.6.1~18。ワタリウム美術館。

恋せよ乙女!パープルーム大学と梅津庸一の構想画展。2017.6.1~18。ワタリウム美術館

2017年6月1日。

 

 ゲンロンカフェで、渋家などと一緒に出ていて、そこで話している姿を初めて見て、パープルームという私塾を運営し、そこで衣食を共にし、そこへ遠いところからも若者が来ている、というような話を聞いて、現代でもそんなところがあるんだ、という驚きを改めて感じ、それは相模原にあって、といった事も知り、機会があったら見てみたいと思っていた。
 

 違う分野の話だけれど、エジソンの発明をコンスタントに発生させるために、クリエイターと現場のマネージャーと、全体を見るプロデューサーが、一緒に生活をして、作っていくシステムといったことと一緒なんだ、みたいなことを思ったし、その時のパープルームの説明で、授業なども、それが夜中であってもタイミングがあえば、行なうという、めちゃくちゃな感じが、それが奇をてらっているだけには思えなくて、確かに、環境から考え直さないと、それは何か違うものが出来るわけもなく、そして、こういうことに反応する人間がおそらく全国にいて、そうした人たちに呼びかけやすい環境が、今はあって、だから集まるべき人間が集まるのではないか、といったような事を、そのトークショーの時に思って、いろいろと厳しい時代だから、よけいにそういう場所が必要なのだろうと思っていた。

 

 ワタリウム美術館で展示をする、といった話は、トークショーの時に出ていなかったと思うので、意外だったけど、これは私立の私営の、決断が許されている場所だから、出来ることだとは思ったりもした。
 

 初日に展覧会に行くのは、もしかしたら初めてかもしれなかったが、駅から美術館に行くまでに激しい雨が降った。

 

 最近は、この美術館はパスポート制度がなくなったのか、それでもペア券の制度が出来て、妻と二人で1600円だった。4階から見る。そこには梅津の個展のような景色が広がっていて、在宅介護みたいな文字も見えたから、そこに何かしらの意味があるのだろうけど、アーティストのバイトというか、働く場所として、最近は介護の現場が多いのかもしれない、などとも思う。
 

 その絵は印象派というかスーラみたいなものを意識したらしいものだったり、あとは全裸ではしごを上り下りする映像だったり、あれこれあるものの、柔らかい雰囲気はあって、どれもコンセプト重視というか、方向性みたいなものだと感じる。それらは、すごく感動する、みたいなものでもなく、ただ、こうした作品群があること、ここが文化祭のような場所になっていて、可能性だけはあるような感じがすることが大事なのかもしれない。

 

 初日なので、マスコミ関係者らしき人と梅津がしゃべっていて、その関係者らしき人の大声が、ちょっと気になり、同じタイミングで進まないようにしているのだけど、そうもいかなかった。

 

 3階はパープルームのメンバーの作品で、植物に→の紙をはったりしていて、ちょっと面白かったり、二階は広い展示室で、そこには、昨日もずっと作品を作っていたであろう、メンバーが4人も寝ている。作品そのものよりも、何しろ作品を作ることが優先されるような、そういう空間がここにあることが印象に残る。

 

 リスカちゃん、の作品を買う。とても丁寧にパッケージを作ってくれて、700円なのに、申し訳なくなる。こういう場所が、そして、10年後にどうなるか、みたいなことだと思うが、今あることそのことに、価値がやっぱりあるようにも思えた。

 

 

(2017年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

 

www.watarium.co.jp