アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「マルセル・デュシャンと日本美術」。2018.10.2~12.8。東京国立博物館(平成館)。  

マルセル・デュシャンと日本美術」。2018.10.2~12.8。
東京国立博物館(平成館)。  

2018年12月8日。

 デュシャンの作品がまとめて見られる、というので出かけた。

 

 1部は、フィラデルフィア美術館が所蔵する作品を中心に、かなりたっぷりと見ることができて、それで改めて、どうして「レディメイド」が出てきたのだろう、と不思議に思えたが、やっぱり満足感があった。ここから、現代美術が始まったと、改めて思う。

 

 ただ、第2部の「デュシャンの向こうに日本が見える」という企画が、あいまいに思えた。デュシャンの作品と、さらに時代的にはもっと前の日本の工芸品、絵画などとの類似点を匂わせているように感じる。

 もし、千利休の見立てが、デュシャンの「選ぶこと自体が作品」とかなり似ている、というのであれば、この展覧会をフィラデルフィアに巡回させ、その図録に、現代美術の源流は千利休の見立てなど、日本に発見できる、といった論文を書き、もちろん英語でも載せて、ある意味、西洋が中心である現代美術界に戦いを挑む、といった覚悟があれば、それが成立するかどうは別としても、この第2部の展示も、もっと違うものになったのに、とは思った。

 

 それは観客の勝手な思惑かもしれないけれど、でも、そういうことも考えたのだから、この展覧会の主旨には、見事に沿っているのかもしれない。

 

 

 

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