アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「第4回 心のアート展 それぞれの感情との出会い」。2013.4.24~29。東京芸術劇場。5階〔ギャラリー1〕。

「第4回 心のアート展 それぞれの感情との出会い」。2013.4.24~29。
東京芸術劇場。5階〔ギャラリー1〕。

2013年4月28日。

 学生時代の後輩にこの展覧会があるのを教えてもらった。会期が6日間だけで、主催は東京精神科病院協会で、患者さんの作品を展示しているというのだけど、アウトサイダーアートという分野があって、それをアウトサイダーアートという枠に入れてしまうのもどうなのか、と思ったりもするが、だけど、そういう枠があるから、初めて展示できるということもあるのだから、と思ったりもする。

 

 アウトサイダーアートというジャンルには、「正式な美術教育を受けていない人」という定義もあるので、自分自身も作品を作って、認められたとすれば、そういうジャンルに入ることになる。だけど、そういう病気と診断された人達の作品というのは、おそらくは、治療にもなるのかもしれない。

 

 この日は「ニコニコ超会議」を見に行って、その帰りに池袋に寄って、ギャラリーに入ったら、ほとんど客がいなかった。入って、右側に江中裕子という人の作品が、コラージュなのだけど、その選択やその配置が、全部、そのダークな気配が徹底していて、その迫力は圧倒的だった。キャプションのように添えられた、おそらくは本人の文章も独特だった。キミはガラスみたいだけど、強化ガラスみたいだね、と言われて…のあとの不思議な文章の運びも印象的だった。他にもいろいろな作品があって、ものすごくたくさん描いている絵があって、机に上に並べてあって、「ご自由にご覧ください」というような事も書いてあったが、もう少し大事に扱って欲しいみたいな気持ちもあった。

 

 特別展示は、フランスの病院での試みがあったが、日本の作品に比べると、もっと穏やかな感じだったのだが、関係者がいて、あまりじっくりと見られなかった。

 

 その他には、ユウコさんという人の作品があって、16歳で発病してしばらく大丈夫だったんですが、また発症して、みたいな話が書いてあって、年齢を見たら、46歳とあった。何とも言えない気持ちになるが、その作品が小さいスケッチブックで「院庭散歩日記」というもので、その小さい風景を丹念に描きながらも、すごくラブリーな絵で、それはとても魅力的なものだった。それをそのまま、作品として本にしても、価値があるものだとも思った。

 

 他には、クレイアニメの作品もあって、その人は割れた鏡を顔の部分に使った人形とか、とても伝わる力の強さがあったのだけど、その映像も、ベッドから起きて、階段を降りて、それから、また戻っていくというだけのものだったのだが、頭が離れて先に動いていったり、階段も先に頭だけ登ったり、というのが、とても自然で、不思議に見えなかったが、とても独特のものだった。ただ、多くの同じように作品を作っている人はたくさんあるとは思うのだが、こういう展示をされる人は、ごく1部の人に違いない。

 

 そして、櫻井陽司さんという人の作品を特別展示してあったのだが、どうしてもセザンヌ風とか、いろいろな影響が強すぎるようにも思えてしまった。

 

 

 

「第4回 心のアート展」

https://kokoronoart.toseikyo.or.jp/exhibition/4th/overview

 

 

 

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