2016年12月27日。
学校の時の仲間に誘われた。まったく知らない映画監督、まったく知らない作品名。それでも、そのホームページを見たら、デビッドリンチとクローネンバーグという名前が出ていた。それは宣伝文句だから、と思いながらも、人に誘われたら行くことにしているので、それはせっかく自分の好きなものを教えてくれるなんて、それはとてもありがたいことなので、行くことにして、日程を合わせたら年末になった。
渋谷に着いたら、けっこうそこから距離があって、着いたら、まだ時間があったので、待ち合わせをした人と一緒に食事をしてから、映画を見た。不穏で、きれいで、不思議で、しかも、見たことがあると思っていた海の波の動きが生き物のように見えて、こんな風に見たことないよな、と思ったりしていると、その世界がどこかにあるようで、自然に見れるのに、明らかに変なところで、しかも美しいといっていいような場面の連続なのに、ひたすら気持ち悪さがあって、それでも、その進み方が遅く感じて、時々、眠くなったりもして、本当に眠ってしまったりもしたけど、決してあきたわけでもなくて、なんだか面白かったのは、島の中で、少年と若い(おそらく30代くらい)母親だけがいる世界で、それで、少年は全員、妙な薬を飲まされて、妙な食事をしているのが、本当にそのような島があるように思えてきて、その時間が流れる。
結局、その理由とか、本当はこうなんです、という説明もなく、おそらくは、そういう正解を最初から用意しているわけでもなく、見たい世界を作っていて、それを提示しているだけなのかしれず、でも、今日も観客はいたし、世界中でこうした作品が好きな、というか、監督の支持者がいれば、それで成り立つということかもしれない。これは体験、他では得難い体験と考えると、貴重な時間だった。
そして、これは監督が自分の好みに誠実に作ったんだろうな、というのは分かって、こうやるとカッコイイだろうな、というような感じではないのも分かるし、広く理解されるのが難しいものを妥協しないで作り上げていく大変さも思ったが、でも、その幸せみたいなものも感じた。そして、形にして、実績を蓄積していければ、また次がある。と考えると、すごい。
ルシール・アザリロヴィック監督。