2007年3月1日。
去年、青森の続きのようだ。
この映画は見に行こうと思っていた。
渋谷のシネマライズ。もしかして、8年くらい前、妻と二人で見にいって、それ以来、映画を見ていないかもしれない、と思うくらい久しぶりだった。電話で、日曜をのぞけば、それほど混んでない、ということを聞き、月曜か木曜か、デイサービスの日に出かけようと思い、ちょっとキツかったけど、早起きして、出掛けたら、行列が出来ていた。ここで、少し平常心を失った。どうやら、今日は映画の日で、1000円で見れるらしい、それは嬉しい、でも、こんな混んでいて、いわゆるスペイン坂の途中まで並んでいて、時間に間に合うかうかどうか、それに入れ換え制だから、もしかしたら、入れないかもしれない、という恐怖心に近いものが沸き起こってきて、そうしたら、映画は2本やっていて、どうやら、もう一つの方が人気があって、ということなのらしいが、その映画については、もうほとんど席がないとか、情報がおにいさんから流されていたりするのに、奈良については一言もなく、ホントにこの列でいいのか?という疑問がまた回って、妻に大丈夫と言われる。階段に降りていって、そして、また登るような妙な列。時間は迫る。でも、入場券を買う時になって、席も選べて、それもかなり選び放題といっていい空き具合で、安心して、席を選んで中に入った。
わくわくしていた。
予告編が流れた。
その後、本編。ナレーションは、宮崎あおい。
奈良が歩く。そこに音楽がかかる。パンク系のおそらく奈良も好きだろう、と思われる音楽がかかる。
すごくわくわくする。気持ちが、自動的といっていい感じで、やっぱり盛上がる。
奈良美智は、あちこちへ旅をする。
そして韓国で出会った7歳くらいの女の子の話で、妻は泣いている。でも、こういうエピソードが入ると、やっぱりいいな、と思ってしまう。
今の状況に戸惑っているような奈良。そして、製作をする奈良。やっぱり、絵がいいな、それも私にとっては、大きなものもいいんだけど、それよりも、それよりも、になってしまうんだろうか、そこらへんにあった紙に書いた、ドローイングといわれる落書きに近いものの持つ、エネルギーみたいなものが凄くいい、と思えてしまうのだった。
途中で、トイレに行った。悲しくなるほどトイレが近い。
奈良がタバコを吸う。そんな姿が大人に見えたりもする。
そして、横浜トリエンナーレ。それから、青森のレンガ倉庫へとつながっていく。ああ、行った。行った。自分が見たものを確認するような、そんな気持ちになっている。ここも見た。これ見たっけ?というどこかケチくさい感じの気持ちにもなっている。
また音楽がかかり、少年ナイフいいなー、とか、イースタンユースいいなー、とか、勝手にそんな事を思っていて、そして、そうこうするうちに映画が終わる。それにしても、奈良美智は映画として成り立つ姿は確かにしている。でも、また1人で作った作品を、また見たい、と思った。
いい、と思ってから、もう10年以上がたつ。
映画館を出て、クワランカカフェに行く。
そこも、すごくよかった。今度は天気のいい日に、外のテラス、といっても、妙にごちゃごちゃしているだけど、今はなくなってしまった蒲田のカレー屋にちょっとだけ似ている気がしてきた。
(2007年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。