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1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

サンボマスター【1st 日本武道館2017】〜そのたてものに用がある〜。2017.12.3。日本武道館。

サンボマスター【1st 日本武道館2017】〜そのたてものに用がある〜。2017.12.3。
日本武道館

 

2017年12月3日。

 最寄りの駅で降りてから、初めての武道館までは、意外と近い場所だった。サンボのグッズを着ているファンが何人も歩いている。ゆるく集団のように歩いて行って、武道館の屋根が見えた時、あれが玉ねぎか、サンプラザが歌っていたよね、と、20代くらいの女性が言うのが聞こえてきた。武道館が近づく。
 
 ライブの前に、グッズを買おうと思って、ショップに並ぶ列を見たら、武道館をグルッと囲むくらい人が並んでいて、あ、こんなにと思って、驚きと共にあきらめた。ただ、当たり前だけど、まだ人がたくさん来る力があるんだと思った。
 
 武道館の中に入る。席に行くまでにいろいろな係の人がいる。 

 2階席だから、座って見られそう、と思っていたけど、始まったら立たないと見られなかった。そのうちに、恥ずかしいけど、ずっとあおってくる山口のボーカルにつられて、腕をあげていた。言葉も強いし、歌も2階まで届いてくるし、やっぱりすごいんだ、というのと、ずっと本気だったんだ、と改めて感心もした。
 

 途中、山口のMCで、今日は10代から、55歳より上の人も来てると思うんだよな、と話していて、気持ちの中で「当たり」と言っていた。
 時々、武道館が、大きな一つの部屋のように思えた。

 

 曲の途中で演奏を止めて、沈黙が続く時があった。かなりの時間に思えた。観客の一人が泣いていたから、泣きやむのを待っていた、といったことを山口が言い、また演奏を始め、歌を歌い始めた。

 

 3時間。3人でずっと演奏を続け、何の飾りもないまま、その熱量は変わらなかった。
 彼らも、全員、40歳を過ぎているはずなのに。

 

 終わったあと、頭痛が出て来た。このところずっと体調が悪いから、疲れたのかもしれないが、それでも、行ってよかった。Tシャツも欲しかったけど、ライブが終わった後も並んでいたし、あきらめた。


 
 音楽で君を救いにきたよ。

 

 サンボマスターは、最初から、ずっとそれだけを伝えているのかもしれないと思った。
 だから、変わらないように見えて当然だし、同じに感じても自然かもしれない。

 そんなきれいごとばかりじゃない、というような思いが、自分の中でも起こるのだけど、サンボマスターは、10年以上、それを続けてきて、何の曇りもないように見えた。
 すごいことだった。

 

 ラジオで、テレビで、街中で、もしくは、どこか意外なところで。
 サンボマスターの演奏が、山口隆の声が、耳に届く時は、そんなに熱心なファンではないのだけど、その瞬間に「あ、サンボだ」と心の中で言うと思う。
 そして、そのたびに、まだ自分の中に、肯定する力があることを、その一瞬だけでも、確認できるはずだ。それは、やっぱりありがたいことだと思う。

 

 

 

 

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