2005年8月31日。
水戸芸術館で、ずっと続けている企画。
今回は、風間サチコ。
黒っぽくて、古そうで、特徴があって、不思議なほど、少し遠くから見ると、分かる。
考えたら、すごい。
変わっているのだろうけど、変わっていないように見える。
「風間サチコの版画の魅力は、その卓越した技術に支えられた描写力はもちろんのこと、一見平和な日本の中流社会の奥底に巣くう闇を暴く、良い意味で下世話かつジャーナリスティックな視点である。昼間はスーパーマーケットの精肉売り場で働き、暇な時間にはテレビのニュース番組やワイドショーのチェックを欠かさない風間は、夜になると怒りの版画家へと変身し、日々報道される年金問題や、政府による公的資金の無駄遣いなどの社会問題に対する憤懣を原動力に、彫刻刀を板に突き立ててゆく。その結果現れる画面のどす黒さは、平凡な日常生活の裏に渦巻く、庶民の憤怒の色と言ってよいだろう」。
(リーフレットより 高橋瑞木 水戸芸術館現代美術センター学芸員)