2023年9月16日。
天王洲の複数のギャラリーが入っているビル。
その一角にある「ANOMALY」。
(「MUUSEO SQUARE」サイト)
https://muuseo.com/square/articles/1197
2018年11月、現代アートのギャラリー「ANOMALY」が誕生した。共同代表は山本裕子、浦野むつみ、橋本かがりの3人だ。
興味深い点は、このギャラリーが山本現代、URANO、ハシモトアートオフィスの3ギャラリーの統合により生まれたこと。そしてグランドオープンの展覧会をおこなったのは、3つのギャラリーのいずれにも属していなかったChim↑Pomであったことだろう。
3つのギャラリーが集まって何をはじめるんだ?1992年の伝説の展覧会「ANOMALY」の再来か?
(「MUUSEO SQUARE」サイトより)
そういうギャラリーだったから、観客としても、どこか特別感を持っていた。
そして、今回『ジャンクス・ポーツ』は、展覧会の会場が、ごちゃごちゃしていて、少し暗くて、それでエネルギーを感じる独特の空気があった。
ハンドアウトをもらおうとしたら、近くにいた作家かスタッフが、コピー機のスイッチを押してくれて、展覧会の説明が黒で書いてある上に、青色で「ステートメント」が印刷された。それが、この展覧会の雰囲気と合っていて、それも含めて、何だか感心した。
(「ANOMALY」サイト)
http://anomalytokyo.com/exhibition/junksports/
蠅、ゴミ、コンクリート、街路樹、プラスチック、メタルハライドランプ、自動車、舗装道路、LED、屑、自動販売機、タクシー、分泌、そして不幸な歩行者たち、運送トラック、ビルボード、夢の島…。
文明はむせ返るような悲劇であり、喜劇は埋立地に埋もれてしまっている。ジャンクは意味から解放された始まりとして、大地の皮下でその時を持っている。
私たちの社会は絶え間なく新しいテクノロジーを生み出し、それらを次々にジャンク化することで、何とか維持されている歪な社会です。1秒先の未来を想像するために、非常に高いコストを払って、それらを次々に過去化していくのです。高速でドライブするこの代謝運動は、私たちに物事を効率よく忘れていくための訓練を行い、善意として生まれたはずのあらゆる物やテクノロジーは、次々に堕落していき、悪意と化します。
これからも都市が呼吸をする限り、ジャンクは増えていく。ジャンクは腐肉と化し、大地となってジャンクを生み出し、ジャンクは腐肉と化し、大地となってジャンクを生み出す。蝿はそこに寄宿しながら都市を眺めている。
涌井智仁
(「ANOMALY」サイトより。ステートメントの一部を引用)
『日本・現代・美術』 椹木野衣