アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

『ジャンクス・ポーツ』。2023.9.7~9.22。ANOMALY。

『ジャンクス・ポーツ』。2023.9.7~9.22。ANOMALY。

2023年9月16日。

 天王洲の複数のギャラリーが入っているビル。

 その一角にある「ANOMALY」。

 

(「MUUSEO SQUARE」サイト)

https://muuseo.com/square/articles/1197

2018年11月、現代アートのギャラリー「ANOMALY」が誕生した。共同代表は山本裕子、浦野むつみ、橋本かがりの3人だ。

興味深い点は、このギャラリーが山本現代、URANO、ハシモトアートオフィスの3ギャラリーの統合により生まれたこと。そしてグランドオープンの展覧会をおこなったのは、3つのギャラリーのいずれにも属していなかったChim↑Pomであったことだろう。

3つのギャラリーが集まって何をはじめるんだ?1992年の伝説の展覧会「ANOMALY」の再来か?

   

      (「MUUSEO SQUARE」サイトより)

 

 そういうギャラリーだったから、観客としても、どこか特別感を持っていた。

 そして、今回『ジャンクス・ポーツ』は、展覧会の会場が、ごちゃごちゃしていて、少し暗くて、それでエネルギーを感じる独特の空気があった。

 ハンドアウトをもらおうとしたら、近くにいた作家かスタッフが、コピー機のスイッチを押してくれて、展覧会の説明が黒で書いてある上に、青色で「ステートメント」が印刷された。それが、この展覧会の雰囲気と合っていて、それも含めて、何だか感心した。

 

(「ANOMALY」サイト)

http://anomalytokyo.com/exhibition/junksports/

 

 蠅、ゴミ、コンクリート、街路樹、プラスチック、メタルハライドランプ、自動車、舗装道路、LED、屑、自動販売機、タクシー、分泌、そして不幸な歩行者たち、運送トラック、ビルボード夢の島…。

 文明はむせ返るような悲劇であり、喜劇は埋立地に埋もれてしまっている。ジャンクは意味から解放された始まりとして、大地の皮下でその時を持っている。

私たちの社会は絶え間なく新しいテクノロジーを生み出し、それらを次々にジャンク化することで、何とか維持されている歪な社会です。1秒先の未来を想像するために、非常に高いコストを払って、それらを次々に過去化していくのです。高速でドライブするこの代謝運動は、私たちに物事を効率よく忘れていくための訓練を行い、善意として生まれたはずのあらゆる物やテクノロジーは、次々に堕落していき、悪意と化します。

これからも都市が呼吸をする限り、ジャンクは増えていく。ジャンクは腐肉と化し、大地となってジャンクを生み出し、ジャンクは腐肉と化し、大地となってジャンクを生み出す。蝿はそこに寄宿しながら都市を眺めている。

                    涌井智仁

           (「ANOMALY」サイトより。ステートメントの一部を引用)

 

 

 

 

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