アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

「村上隆個展 inochi」。2009.4.3~4.16 。カイカイキキ ギャラリー。

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村上隆個展 inochi」。2009.4.3~4.16 。カイカイキキ ギャラリー。

 朝、予定より早く起きて、まだ寝不足な感じはするけれど、でも、妻といっしょにでかけた。天気もいいし、有栖川公園の中を通ると昼飯どきだから、けっこう人がいて、食事をする勤め人の姿も少なくない。中には、公園内を流れる河の中の石に座って食べている中年男性もいた。

 ギャラリーは、それほど混んでいなかった。ゲイサイニュースというメールが来て、そこには、入り口にあふれるほど並んでいる日もある、というような写真があったので、けっこうあせってきたら、そういう事とはほど遠かった。

 トークショーが行われたスペースに、inochi(イノチ)があった。

   人のかたちをしたロボットがテーマらしい。

 じっと見ていると、そのうちに動くんじゃないか、と思えるものがあった。完成度、というのは、ここまで高めないと人は納得してくれないんだ、とも思った。でも、ここに至るまで、どれだけの時間と、どれだけの労力と、どれだけのがっかりと、どれだけのため息と、どれだけの衝突があったのだろう、と思わせるスケッチとそれにそえられた言葉と、CMの制作のビデオを見て、思ったりもする。

 

 足が外反母趾で、それは女性社員をモデルにしていたり、手首に血管が、というメモを見てから実物をもう一度見ると、本当にリアルにうっすらと血管が見えたり、肛門のしわとか、子供の男性器も、実物としか思えないような完成度だった。

 おそらく、こういう立体物は、他には、どこにもなく、それなのに、こういう存在は前からいたかのように作っているから、だから、6000万円というような値段もつくのだろう。

 小さいフィギュアも、よく出来ていて、約15万円。もう少し余裕があれば、買ってしまいそうな出来具合いだった。

 

 立体と日本の広告のポスターとCM。確かに、そのセットは強力だった。

 

(2009年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。

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