アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

開館記念 〈生きる〉展 現代作家9人のリアリティ。2007.4.28~7.16。横須賀美術館。

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開館記念 〈生きる〉展 現代作家9人のリアリティ。2007.4.28~7.16。

横須賀美術館

 

2007年6月26日。

 

    電車を乗り継いで、初めて降りる駅。

 横浜から30分ちょっとしかかかってないのに、すごく遠くへ来た気持ち。バスに乗り、観音崎京急ホテル前で降りる。そのすぐそばに横須賀美術館。前の芝が広く、海のすぐそばのキレイな建物。出来たばかりの美術館。作品でもある鉄のV字型の道 通りたいと思ったらコーンで閉鎖されていた。

 レストランで食事。並ぶくらい混んでいる。平日なのに、午後1時30分過ぎているのに。

 1800円でドリンク付き。ながめがすごくいい席。ずっと海を見て、そして思ったよりも船が通っていて、あちこちから色々な種類の船が行ったり来たりして、海が、すごく混んでいる感じを初めて見た。

 

 3時頃から展覧会へ。

 あちこちに丸い窓が開いていて、そして、最初に橋を渡るように行って、その下にヤノベケンジの大きい作品が見える。

 

 「生きる」展。新しい美術館の最初の展覧会。

 石内都。キズのある体。でもそれは時の器であり、大事に撮っているという言い方。ああ、そうかも、と思う。それは、どこか深い納得感みたいなものにつながっている。

 

 ヤノベケンジ。森の映画館。父が腹話術の人形「とらやん」を使っている。孫に向かって話す感じがすごくリアルだった。もしもの時には、という気遣いが当たり前だけど本物だと思った。

 

 清水慶武の絵。最初は、うすい絵に見えて、妻には好評で、ただ2回目に見たら、すごくよく見えた。

 

 舟越桂スフィンクス。乳と男性器の両方がある像。いろいろやろうとしていて、そして、生意気な言い方だけど、これをいろいろやって、そして、また平凡にも見える像を作り始めた時に本当にすごくなるのではないか、などと思った。

 

 そして木村太陽。

壁の角をかじった後を作品にしたり、掃除機と人形を組み合わせてみたり、その掃除機の名前が「健康家族」だったり、ふくろの中に音で反応して動くおもちゃを入れてみたり、これを見て「こわいです」となぜか言いに来たご高齢の女性がいて、その人はずっと誰にでも様々な事を聞いて、そして私たちと同じように午後6時過ぎまでいた。

さらに、壁に穴をあけて、そこの中にいて風船をふくらませるパフォーマンスをしたり、頭にビニールをかぶって監視員のかっこうをしたマネキンがあって、そのビニールは膨らんだりするのだけど、床屋の練習用の頭を坊主にして箱につめこんだり、男女のマネキンをファスナーで中途半端に囲んでみたり、人の神経をさかなでにする、どこか汚さみたいなものがあるけれど、でも、やっぱり、面白くて好きだと思えた。

この美術館はスペースの大きさがいろいろあったり、でも明るかったりして、あきない。そして、今回の企画展の説明の文章がすごく分りやすくて、でも、興味をそこで終わらせない感じが、手練れの者、という感じがした。

 また行きたい。

 V字型の道は帰りは通れた。

 もう、心配しなくていいのに、長く介護をしていた母はいないのに、でも、その心配な感じだけが残っている。解放感は、ない。

 でも、来てよかった。妻と一緒で、すごく楽しかった。

 

 

 

(2007年の時の記録です。多少の加筆・修正しています)。

 

www.yokosuka-moa.jp