アート観客   since 1996

1996年からアートを観客として見てきました。その記録を書いていきたいと思います。

長谷川利行 ―― 幻の名作と、素描力!。2008.11.17~12.6。不忍画廊。

長谷川利行 ―― 幻の名作と、素描力!。2008.11.17~12.6。
不忍画廊。

 

2008年12月5日。

 私よりも美術に詳しい友人に誘われて、出かける。東京駅の周りはさらに変わっていて、予想よりも高いビルがいくつか出来ていて、見上げてホントに高いと驚き、自分が、おのぼりさんのようだ。

 

 そして、東京駅から近くの大通りに面したビルの1階にある不忍画廊というところへ行く。知らなかったら、圧を感じて入れないかもしれない。表にある麻生三郎という人の絵がいいと思った。そして、中へ入ると、幻の絵「水泳場」というのがあって、予想よりも大きい絵で、でも、なんだかちょっとピンとこなくて、鉛筆で描いたカフェの男とか今でも古くないし、でも、その隣のちょっと穏やかな鉄道が描いてあるような絵が私は好きだと思った。
 だけど、見てよかった。
 
 水泳場という絵は、本人が本人風に描いてあるような気がして、ちょっとなんだかな、と勝手に思っていたが、いっしょに行った友人の「才能の浪費」という言葉を聞いて、そうだと思ったし、どこから、何から逃げたんだろう?ドヤ街に住み始める時になにかあったんだろうか?と思う。
 
 何日かかけて描いた岸田氏の肖像画はいい感じだったのだから。今は、テレビで見ただけなのか、現物を見たのかも記憶がはっきりしないが、でも、竹橋で見た作品はけっこうよかったのは覚えている。そして、その肖像画の向こうに、もっとすごい絵が描けたのに、などと勝手な事を思うと、もったいない気はする。
 
 どうして酒に走ったのだおろうか。最初はポーズだったのが、酒にやられてしまったのだろうか。でも、今のかなりの年齢の男性がなんとなく、そういう姿勢を含めて評価するのは分かる気がする。破滅型、というけど、なかなかホントにのたれ死には難しいし。
 
 だけど、申しわけないけど、鉛筆でさーと描いたであろう絵があれだけ描けるのだから、やっぱりもったいないと思うし、才能の浪費というのは、やっぱりあたっているような気がする。ただ、また竹橋に行ったら、見てみたいと思った。
 
 
(2008年の時の記録です。多少の加筆・修正をしています)。
 
 

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